コーヒーは深煎りよりも
浅煎りがお勧めな理由
岡希太郎(おか・きたろう) 東京薬科大学名誉教授。日本コーヒー文化学会常任理事サイエンス委員長。東京薬科大学卒業。東京大学薬学博士。 スタンフォード大学医学部留学。
アンチエイジング業界では、NAD⁺に変換されると考えられるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)サプリや点滴などがブームだが、前出の研究報告ではコーヒー成分のトリゴネリンでもNAD⁺を増やす作用があることを証明している。コーヒーなら、安全かつ低コストで摂取できる。
ただし問題は、焙煎(コーヒー豆を焙じて煎ること)をすると、トリゴネリンがほとんどなくなってしまうこと。生豆なら100グラム当たり600ミリグラムも含まれているが、深煎りでは5ミリグラム以下に……。
「ですからトリゴネリンの作用を期待するのであれば『浅煎り』の方がお勧めです。わかりやすく言えば酸っぱいもの、コーヒーの色がこげ茶色ではなく、薄いものは焙煎が進んでいないでしょう。深煎りコーヒーの方が、味もいいですし、香りもあるんですけどね(笑)」
トリゴネリンの作用を失わないために、浅煎りコーヒーを選ぶことが体の健康に良い効果が期待できる。
浅煎りコーヒーを朝に飲むと
幸せ脳内ホルモンが長持ちする
さらに、心に効く「飲むベストタイミング」がある。朝だ。
「浅煎りコーヒーを朝に飲むと、心のバランスが取れるセロトニンが長持ちし、うつを回避する可能性があると2021年に報告されました(※6)」
それはこういうことだ。日中に幸せ脳内ホルモンといわれる「セロトニン」が分泌されると、それが夜にかけてモノアミン酸化酵素によって分解され、眠りのホルモン「メラトニン」に変わる。コーヒーに含まれるクロロゲン酸などにはこのモノアミン酸化酵素を阻害する物質が発見されたため、朝に浅煎りコーヒーを飲むと、セロトニンが分解されにくくなるという。
岡氏は「幸せ脳内ホルモンがあれば、ストレスに強くなり、社長に怒られても大丈夫です」と、にっこり。
ちなみになぜ朝に飲むのが「浅煎りコーヒー」かというと、実はメラトニンへの経路を遮断する「クロロゲン酸」(ポリフェノール)もトリゴネリンと同様に焙煎によってほぼゼロになってしまうからである。だから少しでもクロロゲン酸が残る浅煎りコーヒーがいい。
眠たい朝も、コーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用でぱっちり目覚め(しかも夜までカフェイン効果は持続しないから睡眠を妨げない)、日中のセロトニン維持によって心にも良い作用がある。早速、明朝から「浅煎りコーヒー」一杯を楽しみたい。
(※6)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33540300/
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