「令和の米騒動」で
120年の歴史に幕

 厳しい事業環境のなかでも、平石屋吉田商店は自分の首を絞める安値販売を極力避け、借入返済の条件変更、経費削減に取り組み、我慢の経営を続けた。こうした経営改善策が実を結び、2019年8月期にようやく2416万円の黒字を計上した。

 2020年はコロナ禍で外食向け需要が落ち込んだものの、代わりに中食や巣ごもり需要の追い風が吹いた。利幅の薄い販売先への特売米をさらに減らした結果、米価が下落しても収益は改善に向かい2023年8月期まで5期連続の黒字を達成。ようやく債務超過から抜け出すことができた。

 ところが、本格的に再建への一歩を踏み出したタイミングで、今度は「令和の米騒動」が吹き荒れた。コメ不足で価格が高騰し、仕入れが難しくなった。大手との価格競争に敗れ、価格転嫁も遅れた。また、コロナ禍の影響を引きずる飲食店に焦げ付きも発生し、追い打ちを掛けた。こうして2024年8月期の売上高は7億2463万円まで落ち込み、4630万円の赤字となり再び債務超過に転落した。この時点で売上高はピークの6%にまで落ち込んでいた。

 その後もコメ価格は高騰を続け、仕入資金の調達に難航するようになった。資金力の勝負は冷徹だ。同業他社との仕入競争では、いわゆる「買い負け」が続き、仕入できない状態で、ついに運転資金も枯渇し、2025年2月に事業継続を断念した。債務整理を経た2026年1月、負債6億7536万円を抱えて宇都宮地裁から破産開始決定を受け、120年におよぶ歴史の幕を閉じた。