全国に集荷網を持ち、パックご飯などの加工食品部門も備える大手は、高値を利用して売上高を大きく伸ばした。増収効果で高い利益率を確保し、最高益を更新する企業も現れた。
一方、特定産地や限定的なルートに頼る中小の卸業者は、仕入れで苦慮し、供給責任すら果たせない事態に直面した。長い間続いた事業環境の悪化で、中間層以下の米卸は疲弊し、資金力や財務が脆弱(ぜいじゃく)化している。経営改善に取り組み、ようやく債務超過を脱した平石屋吉田商店は、まさにこうした企業の典型だった。急激な仕入価格の高騰に対応できず、令和の米騒動を乗り切る力は残っていなかった。
コメ価格は下落の見通しで
「高値掴み」のリスク懸念も
一時期、スーパーなどの店頭から消えた国産米は、2025年産米の流通とともに復活し、コメ不足は払しょくされたようにみえる。生産コストが上がり、価格は以前の水準に戻っていないが、コメの相対取引価格は4年ぶりに4カ月連続で下落し、店頭価格もしばらく後には下落する見通しという。
過熱した需要はようやく落ち着きを取り戻してきたが、価格の揺り戻しの局面では「高値づかみ」のリスクが浮上する。買い負けを避けるため、身の丈を超えて仕入れに走った業者も少なくない。そうした業者ほど、今度は保有在庫の価格が下落して逆ザヤとなりかねないのだ。
消費者だけでなく、生産者や流通業者にも大きな混乱をもたらした「令和の米騒動」は、新たな段階に入りつつある。消費者のニーズは移ろいやすく、需給や価格の環境も大きく変化している。こうした状況のなかで、中小の米卸業者にとっての試練は、むしろこれからが本番かも知れない。







