運動によって増えるマイオカインには、脂肪や糖の燃焼、抗炎症、発がん予防、ホルモン分泌調整などの効果があり、運動の健康作用を仲介します。
一方、運動不足、座位中心の生活では、これらの善玉マイオカインが出ないのに加えて、筋肉のタンパク質を分解したり、炎症を惹起したりする悪玉マイオカインが分泌されます。
Interleukin-6は、運動によって増える代表的なマイオカインで、その働きについて最も研究がされてきました。例えば、30分ジョギングをすると、筋肉で増えたInterleukin-6が血液中へ分泌されます。そして、脂肪組織へ作用して貯蔵脂肪を分解するとともに、肝臓に作用してグリコーゲンを分解し、エネルギー源となる脂肪や糖を筋肉に供給します。
私たちはこのおかげで、長時間の運動をすることができます。またInterleukin-6は、膵臓(すいぞう)でのインスリン分泌を促して血糖値を下げたり、体脂肪を減少させたり、さらに脳の認知機能を高めたり、骨を強くしたりする健康への作用が報告されています。
IrisinやInterleukin-15というマイオカインも、運動によって増加し、Interleukin-6と同じように脂肪組織や骨、血管に好影響をもたらすことが報告されています。がん予防に働くSPARCやOncostatin M、Decorinも善玉マイオカインに含まれます。
さらに、マイオカインには、血液中にはほとんど出ていかずに、筋組織内に留まるものもあります。例えば、Interleukin-7は、筋細胞内から細胞外へ分泌されますが、その後、分泌した筋細胞自身、あるいは近隣の筋細胞に作用して代謝や筋肥大を促します。
このように、遠隔の細胞には作用せず、内分泌効果は持たないものの、分泌した細胞自身に作用する自己分泌作用や近隣の細胞に作用する傍分泌作用を持つ善玉マイオカインも多くあります。
運動は習慣化することで
より真価を発揮する
では、運動による善玉マイオカインの分泌を増やす方法はあるのでしょうか?
その方法の1つは、運動習慣を持つことです。運動が体におよぼす影響とは、1回1回の運動によってもたらされる効果に加えて、習慣的に行うことで得られる適応効果があります。







