子どもの歯列矯正は7~9歳で開始するのが一般的で、治療完了には数年を要する。中学受験する場合、受験勉強に影響を及ぼさないよう矯正治療を受けさせるにはどうしたらいいのか。特集『歯医者「減少」時代』(全26回)の#10では、中学受験を控えた子どもの歯列矯正について徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
塾や習い事のように矯正も
中学受験との兼ね合いを相談
少子化が叫ばれて久しいが、両親や祖父母などに対して子どもの数が少なくなったことにより、1人当たりにかける子育て費用は増えている。教育や習い事はもちろん、ファッションや美容医療など子どもの見た目に関してカネを惜しまない家庭もある。この時代に保護者の関心が高まっているのが子どもの歯列矯正だ。
子どもの矯正治療は、先天的な疾患などが背景にある場合を除くと原則、全額自費診療。このため相談に来るのは「一定以上の収入がある家庭がほとんど」と東京都内で矯正専門クリニックを経営する歯科医師。「医療というよりも、まるで塾や習い事を選ぶような感覚で相談してくる」という。
少子化が進んでいるにもかかわらず、中学受験熱は過熱の一途をたどる。模擬試験を運営する首都圏模試センターの調べでは、2023年の首都圏の中学受験者数は5万2600人と過去最高を記録している。矯正の相談でしばしば話題に上がるのが中学受験との兼ね合いだ。治療には数年かかり、受験時期と治療期間が重なる可能性がある。矯正で勉強に集中できずに受験へ影響しないかを懸念するのだ。
中学受験をさせるつもりなら、矯正治療はいつ始めるのがベストなのか。受験のスケジュールに配慮した治療は可能なのか。次ページでは、矯正専門の歯科医師らが中学受験組にアドバイスする。