AIが生成した文章を提出することに抵抗感がない世代

――これからの新入社員は、これまでの世代とどう違うのでしょうか?

 この世代には、ITリテラシー以外にも注目すべき傾向があります。探究力とプレゼンテーション力の高さです。中高生の頃から探究学習で発表を繰り返してきただけに、新入社員の発表のクオリティがここ数年かなり上がっていることは、多くの人事担当者が実感していることだと思います。

ライフイズテック 最高AI教育責任者(CEAIO) 讃井康智さんライフイズテック 最高AI教育責任者(CEAIO) 讃井康智さん:中高生向けプログラミング教育を全国に広げる中で、「子どもたちの人生を変えるには、採用する企業側の意識を変えなければならない」という思いから、企業向けDX人材育成を本格化。現在は中高生教育から企業・組織変革まで手がけている。 Photo by Mayumi Sakai

 ただ、私が一番伝えたいのはマインドセットの違いです。分かりやすいのがAIへの抵抗感。上の世代は、AIが出した文章をそのまま提出することに、どこか後ろめたさを感じる人が少なくありません。でもこの世代は、抵抗を感じない人が多い。「質が良ければそのまま出せばいいじゃないか」という発想です。

企業側に必要なのはアンラーニング

――それは、手を抜いているということですか?

 むしろ逆です。目的志向が強いのだと思います。ドラマを1.5倍速で観るのと同じように、「同じ成果が得られるなら、より短時間で達成できたほうがいい」という感覚です。「そりゃあ違うだろ」とつい言いたくなるんですが、AIと対話しながら磨き上げて、質が十分であればそれを出せばいい。書く苦労そのものより、価値あるアウトプットを速く出して次に繋げることを重視する。決して思考を放棄しているわけではなく、徹底した目的志向の結果なんです。

 もちろん、AIが間違ったり、著作権を侵害したりするリスクはある。でもそれは人間だって同じで、今まで通りダブルチェックすればいい。

 企業側に必要なのは、アンラーニング。つまり、これまで正しいとしてきたやり方を意識的に手放す勇気です。AIを使って出してきた成果物が十分期待に応えているのに、「それは自分たちのやり方じゃない」と否定する人になってしまったら、終わりだと思います。下手したら、30代で「老害」と呼ばれてしまうかもしれません。