高年収やきれいなオフィスだけではいい人材は来ない

――年収は関係ないのでしょうか。

 もちろんあります。ただ、技術力のある学生にとって大事なのは、「自分の能力が生かせるか」「もっと伸ばせる組織かどうか」です。年収が多少低くても、挑戦できる環境やロールモデルがあれば興味を持ってくれる。逆に年収を上げても、満足にAIも使わせてもらえないようでは、優先順位は下がるでしょう。

 JTCが戦うべき相手は、今や国内の同業他社ではなく、グローバルの人材市場です。いいオフィスを作っただけでは、いい人は来ません。何に投資すべきか、そろそろ本気で考える時期だと思います。

――国レベルでは、何が足りていないと思いますか。

 日本の問題は、リスキリングが個人任せになっていることです。コーポレートガバナンス・コードのような形で、企業内でのリスキリングを原則にしていかなければ、この問題はいつまでも「やる企業とやらない企業」「やる人とやらない人」の話に留まったまま。国全体のアップデートにはなりません。

2040年、事務職が440万人余る

 経済産業省が2026年3月に発表した「2040年の就業構造推計」によると、2040年にはAIやロボットを活用できる人材が約340万人不足する一方、事務職は約440万人余るといいます。

「2040年の就業構造推計(改訂版)について」2026年3月に経済産業省が発表した「2040年の就業構造推計(改訂版)について」より 拡大画像表示

 このギャップを受け、文科省は今、文系から理系・情報系への構造転換を強力に促しています。文系が好きでもいい。でも、そこにAIやデータを活用する力を掛け合わせられなければ、仕事を失うリスクがあるということです。これはもはや個人の努力だけで解決できる話ではありません。企業と国が本気で向き合うべき問題です。今が動き出せるかどうかが分岐点だと思っています。

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