「選ばれる企業」になるための4つの条件

――AIを使いこなす世代に「選ばれる企業」になるために、何をすればいいでしょうか。

 技術力のある学生の「JTC離れ」はすでに起きています。JTCとは「Japanese Traditional Company」の略で、終身雇用や年功序列など伝統的な慣行が残る大手日本企業を指す言葉です。当社でプログラミングを学んだ学生も、テックベンチャーや外資系企業、起業やフリーランスを選ぶケースが多く、JTCは減少傾向にあります。

 では、選ばれる企業になるためにはどうすればいいのか。4つあります。

 1つ目は、新卒採用のページで、使えるAIツールなどを明示することです。大学時代に使ってきたGeminiやClaude Codeといったツールが使えるかどうか、この世代は早い段階で確認します。「社内規定でAIは禁止」となれば、それだけで候補から外れる可能性がある。「AIが使えなければ仕事にならない」と本気で思っているからです。

 2つ目は、若手のロールモデルを育て、イベント登壇やメディア露出など積極的に発信することです。「あの会社では2年目でこんな仕事ができる」という実例が見えると、活躍できるイメージがわきますよね。たまたま現れた逸材頼みではなく、ロールモデルを意識的に育てて発信していくことを、人事戦略として位置づける必要があります。

 3つ目は、採用ルートそのものを変えることです。偏差値は高くないけれど技術力がある学生は、一つの窓口で判断する企業には応募しない傾向があります。エントリーシートで弾かれると分かっていますから。例えば、技術実績で評価する別の窓口を作り、CIOやCTOなど技術に詳しい社員が面接に関わる。「この会社は話が通じそうだ」となると、興味を持ってくれる層が変わってくると思います。

 そして4つ目、一番大事なのは、「人事が今どきの採用ページを作ればいいんでしょ」「若手やDX部門が頑張って発信すればいいんでしょ」という考えを捨てることです。これからの企業の標準は、全職種・全世代がAIを当たり前に使えること。特に急ぎたいのは、マネージャー層の底上げです。若手のスキルを正当に見極め、生かせるマネージャーがいるかどうか。それが、骨太な改革と表面的なアピールの分かれ目になるでしょう。