世代を超えて、AIと共存する職場をつくるために

――AIを使いこなす世代と上の世代が同じチームで働くとき、どんな摩擦が予想されますか。

 派手な衝突というより、じわじわしたすれ違いだと思います。「AIで作ったものをそのまま出すのはどうなんだ」という上の世代の感覚と、「成果が出ればいいじゃないですか」という若い世代の感覚。どちらも悪意はない。でもそれが積み重なって、やがて「ここでは自分の力が生かせない」という判断につながっていく。

――どうすれば、分かり合えるのでしょうか。

 まずは、全社員がAIを活用してみることです。「面白いな」とか「自分でもできた」とか実感して初めて、「彼らが言っているのはこういうことか」と理解できると思います。

 そして、リバースメンタリング。若手がメンターとなって、上司や経営層にテクノロジーや若い世代の感覚を教える、上下関係を逆転させた育成方法です。最近、入社3年以内の若手が役員にAIの使い方を教えるリバースメンタリングを取り入れる企業が増えています。若手にとっては経営層と話せるチャンスですし、役員も普段はプライドが邪魔して聞けないことも、ここまで年齢が離れていると案外素直に質問できたりするんですよね。

リバースメンタリングプログラムのようすNECでは、新入社員がAIやDXの研修を受けた後、その内容を経営層にメンタリングする取り組み(リバースメンタリングプログラム)を実施している。役員が新入社員から直接学ぶことで、「こんな使い方があるのか」「すごいな君たち、こんなことができるんだ」という気づきが生まれ、世代間の相互理解につながっているという 写真提供:ライフイズテック