2つ目は、創業から現在に至る歴史の中の「欠かすことのできない重要な意思決定場面」です。社史には結果としての成功事例が記載されていきますが、少しイマジネーションを働かせれば、当時どのような選択肢があったのか、なぜその選択をしたのかが見えてきます。

 例えば、サイバーエージェントでは、ウェブやガラパゴス携帯(ガラケー)向けのブログ事業が黒字化したタイミングで、事業のフィールドをスマートフォンへとシフトし、広告部門の主力メンバーを大幅に異動させるという大胆な決断を下しました。

 なぜ、あの時点でその決断ができたのか――そこを深く考察することで、自社が何を大切にしてきたのかが浮かび上がってきます。その意思決定の基準こそ、自社らしさの核心です。

自社らしさの再実感は
次の経営幹部に必須の要件

 自社らしさを再実感するとは、社員の誇りや原動力の源泉を知ることであり、自社の成長を支えてきた意思決定の基準を自分のものにすることでもあります。

 次の経営幹部は、不透明で不確実性の高い現実の中で、正解のわからない問いに向き合い続けなければなりません。戦略を決断し、実現に向けた体制を作り、指揮していく。大企業のように豊富なリソースを持てない中小企業であればなおさら、最大の武器である自社らしさを自覚し現場のエネルギーを引き出せるかどうかは、次の経営幹部の必須要件だといえるのではないでしょうか?

 仮に、社外から幹部候補者を招く場合も同様です。既存の幹部と共に経営にあたる以上、自社らしさの共通理解は不可欠でしょう。「この会社はどこに向かい、何を大切にしているのか」を腹落ちして共有できているかどうかが、経営チームとしての機能を左右します。

(リクルートマネジメントソリューションズ コミュニケーションエンジニアリング部 エグゼクティブコミュニケーションエンジニア 河島 慎)