新しいお住まいの建設費に「数億円」
人件費も年1億円超かかる

 独立した宮家には、当然ながら別のお住まいが必要になるが、基本的にお住まいは新たに作られる可能性が高い。

 宮家の場合、お住まいは1つの建物の中に事務室・公室・私室が一体となった構造になるのが通例だ。1階に事務室や来客用の応接間など、2階に寝室や書斎といった私室部分が置かれる形で、三笠宮家、高円宮家などの宮邸はこういった造りだという。

 気になる費用について、山下さんは「秋篠宮邸の改修は全部で50億円ほどかかったとも言われていますが、愛子内親王殿下の場合は皇嗣と同格ではないので、三笠宮邸や高円宮邸の規模で考えるのが妥当ですが、それでも数億円はかかるでしょう」と見る。

 建物の維持管理費などは公費である宮廷費から支出されるが、光熱費については宮家の私費と国の公費との折半という考え方が基本だという。

 皇族費や住居費は比較的、目に見えやすいコストだが、じつは皇族費より間違いなくコストがかさむのが、愛子さまのための宮内庁と皇宮警察本部職員の人件費だ。

 愛子さまが独立して宮家を創設された場合、宮務官、宮務官補、事務官、女官長など10人程度の宮内庁職員が配置されると予想される。宮家職員の平均年収を国家公務員の平均年収の650万円程度とすると、10人だと6500万円ほどになる。 

 さらに皇宮警察本部の護衛官は24時間体制で護衛するため、相当数の人員が必要になる。

「仮に4人態勢で3交代でも12人必要になります。護衛官の人数や勤務形態はわかりませんが、宮内庁職員と合わせると20人ほどの規模になるのではないでしょうか。その人件費だけで1億円は超えると思います」(山下さん)

 さらに、愛子さまは国民的な関心が高いため、独立当初はより手厚い警備体制が敷かれる可能性もある。

「皇室会議」の要否など
おかね以外の問題も山積

 山下さんが強調するのは、こうした費用の問題よりも、制度設計上の「未整理な問題」が多いという点だ。

 現行法では、男性皇族が結婚する際には配偶者が皇族になるため、国として審議する「皇室会議」が開かれる。一方、女性皇族の場合は皇室を離れるため、皇室会議は開かれない。しかし、愛子さまが結婚後も皇室に残り、配偶者が一般国民のままであれば、皇室会議が必要かどうかという問題が生じる。ただ、現状ではこの議論がまったくなされていないのだ。

 また、仮に配偶者や子どもが皇族にならない場合、家族の中で戸籍が異なるという「いびつな状態」が生まれてしまう。

「お父さまは一般人で苗字があるけれど、お母さまは皇族なので苗字がない。お子さまは非常に複雑な状況で成長されることになります」(山下さん)

 子どものプライバシー保護の問題も含め、制度の根幹に関わる論点が積み残されたまま議論が進んでいる現状だ。

 政府としては「現行制度で成長された女性皇族の意思を尊重する」という建前がある。それは、女性皇族自身が皇室を出るか残るかの選択ができるということ。「皇室を出る」という選択をされた場合、その皇族自身への批判が起こりかねない。すべての責任が皇族個人に押しつけられる構造になっており、それが皇室と国・国民との信頼関係にひびを入れる危険性をはらんでいる。

 女性皇族が結婚後も皇室に残っていただくことは、公務の担い手を確保するうえで重要な意義を持つ。しかし、そこには国民が普段意識しない多くのコストと、まだ答えの出ていない制度的な問題が伴う。日本国民として、これらの問題を正しく認識しておく必要はあるのかもしれない。