「味わう」には3段階のプロセスがある。まず、(1)これからのイベントを楽観的にワクワクして待ち望む。次に、(2)ポジティブな瞬間の最中には存分に堪能する。そして、(3)その経験が終わってからも敬愛や感謝を持って思い出す。この3つのプロセスだ。

ながら食いでは
絶品のピザも楽しめない

「味わう」とき、人は好きなもので心が満たされ、その体験に全神経を集中させて没頭している。自分にとって心地よいものなら何でもいい。風光明媚な自然の中でのハイキングでもいいし、冷たく爽やかなカクテルでもいい。格別に難しいクロスワードパズルでもいい。

「やることリスト」の1項目をこなすのではなく、ただゆっくりと、感謝して、それに没頭するのだ。

「気が散っていては、味わうことはできない」とフレッドは言う。

「世界一おいしいピザを食べられるとしよう。そうだな、シカゴのディープディッシュピザの最高のやつだとしよう。でも、学生のレポートを採点しながら食べたら、その絶品ピザの味を満喫するのを完全に忘れてしまうかもしれない。ふと顔を上げてこんなふうに言うんだ。あれ、ピザはどこへ行った?えっ、もうないのか。まあ、おいしかったんだろうね、何しろ一気に全部食べたんだから。でも、そのピザを食べたときの感覚は何も覚えていないな、って」

 フレッドによれば、「味わう」達人なら、ピザから目をそらすようなことはしないそうだ。一口一口を計画的にじっくりと食べる。ひょっとすると、一番おいしい部分を楽しみに、最後の一口までとっておくかもしれない。

幸せな瞬間を台無しにする
「削ぐ」行為

「味わう」の反対は「削ぐ」である。「削ぐ」とは、ポジティブな体験があっても、そこから注意をそらす、今後の心配をする、無視すればいいような小さな欠点を気にする、などでポジティブな体験から生気を吸い取ってしまうことだ。

『サタデー・ナイト・ライブ』というコメディバラエティ番組の名物コントに出てくるデビー・ダウナーは「削ぐ」の名人だ。