ピザを片手にパソコンを見る女性写真はイメージです Photo:PIXTA

デキると評価されるビジネスパーソンほど、マルチタスクで仕事をこなしていく。しかし、「ながら仕事」を続けていると、ストレスは溜まり、アイデアは枯渇し、人生の幸せから遠ざかっていくという。タイパの時代でよしとされている、マルチタスクの負の側面とは?※本稿は、社会心理学者のデヴォン・プライス著、佐々木寛子訳『なぜ休むことに罪悪感を覚えるのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

幸せな人生のカギは
「味わう力」にある

 ポジティブ心理学のフレッド・ブライアント博士は、楽観主義や幸福感、そして人生を豊かにする要素の研究をしている。40年以上にわたって、有意義な人生とは何かを研究してきた彼は、このテーマを非常に直感的かつ個人的なレベルで理解している。

 フレッドは、ポジティブ心理学者に期待するイメージそのままの、常に笑っている陽気で楽しい人だが、彼の発する言葉はすべて内省的で驚きに満ちている。

「心理学では、うつ病や不安症といったネガティブな症状の治療に重点が置かれすぎだ」とフレッドは言う。

「うつ病の逆は単にうつ病でない状態だと思われているけれど、それは違う。単に落ち込んでいない以上の状態になることは可能だ。どうすれば本当に幸せになれるのか、自分の人生には意味があり人生は素敵なものだと感じるには何が必要なのかは、いずれも解明できる。心理学は、悪いことをマシにするだけでなく、良いことを最大化できるはずだ」

 フレッドの研究では、喜びや意味を見出すことはすべて「味わう」ことに行き着く。

「味わう」とはポジティブな経験をその瞬間に存分に楽しむプロセスのことだ。