リーダーの成長を妨げる
「未熟さへの恐れ」

私は、多くの経営者や経営幹部の方々と接するなかで、リーダーの成長を妨げる大きな要因の一つに気づきました。それは、「自分が未熟であると思われることに耐えられない」という思い込みです。

上司からの指導や部下からの諫言を受けると、自分の未熟さを指摘されたように感じてしまい、弱みを見せまいと殻に閉じこもってしまうこともあります。実は私自身も、管理職を務めるなかで同じような感情を抱いた経験があるのです。

ニコライ2世もまた、ウィッテからの諫言によって自らの未熟さを突きつけられているように感じ、嫌悪感を抱いた結果、有能な人材を遠ざけてしまったのではないでしょうか。

諫言を受け止めるための心構え

しかし、そのような殻に閉じこもった姿勢では、リーダーとして成長し続けることはできません。耳の痛い指導や諫言をしっかりと受け止め、それを乗り越えた先にこそ、真の成長があるのです。では、指導や諫言を前向きに受け止めるためには、どのような心構えが必要でしょうか?

私は、「指導や諫言を受け止めること自体が、リーダーの重要な職務の一つである」と捉えることが大切だと考えています。また、上司や部下があえて諫言をしてくれるのは、リーダーとしてさらに成長してほしいという「期待の表れ」でもあります。本当に成長の見込みがないと思われていれば、そもそも誰も何も言ってはくれないはずです。

このように視点を変えることで、厳しい意見も前向きに受け止め、自身の成長の糧にすることができます。もしニコライ2世が、ウィッテの諫言を「皇帝としての職務の一部」として受け止める度量を持っていたなら、その後のロシアの歴史は大きく変わっていたのかもしれません。

※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。