あの試合は3点リードしてもオスナ選手のライトへのポテンヒットで2点を奪われ、「やはりツイていないのかな」「本当に今年は勝てるのかな」と弱気になりました。

 勝ち星がつかない。0点に抑える試合が少ないから、防御率が下がらない。つまり、成績がなかなか上がりませんでした。かといって体が思うように動かないから、コントロールも定まらない。

 修正しようとして練習ではできていても、試合になるとできない。力が入ってしまう。ある試合でできても、次の試合にできない。1点取られたら、2点、3点と取られてしまう。

「やりたいこと」と「やっていること」がまったく違う。答えが見えてこない状態。ほんの少し狂った歯車を元に戻せない。まさに負の循環、負のスパイラルにおちいったとでも言うのでしょうか。

 自分でどうしたらいいかわからない。人生の中であんなに悩んだ期間は初めてでした。今思えば、そこまで自分を追い込む必要はなかったのかもしれませんが……。

 ピンチを脱する“引き出し”が僕自身の中に少なかったのですね。

 これまでも試合中にピンチを迎えたり、シーズン中に不安になることは何度もありました。しかし、勝敗が勝ち越している中で(現役通算7年63勝44敗)、何となく気持ちも勝ち越していたというのか、余裕がありました。そんな中での不安というのは大した不安ではなかったのだと気づきました。

 2025年でプロ7年目。結果的に初めて負け越したシーズンでした(8勝9敗)。繰り返しになりますが、これだけ長く勝ち星が付かなかったのは初めてなんです。

坂本や菅野は不調期から
どうやって脱したのか?

 これまで先輩の坂本勇人選手や菅野智之投手ら、投打の柱が不調で悩んでいる姿を目の当たりにしてきたことを思い出しました。

 先輩たちは気持ちを切らさずにやって、たしかな成果を出していました。「苦しい中でも一筋の光明を見つけ、責任を持ってやることが大事だ」と、自分の身に起きて初めて痛感させられたのは大きな収穫でした。