相手との距離感を量るのは
高度な属人的なスキル
私は若い頃にいろいろな仕事を転々としてきたおかげで、どこまで断ればうまく逃げられるか、これ以上突っ込めば相手が怒るかという「距離感」が、なんとなく体で分かっていました。それが幸いしたのでしょう。
それは非常に高度な、属人的なスキルです。しかし、今の時代、400店以上ある全店舗の従業員、特に若いアルバイトスタッフに、その「中庸の立場」を求めるのは不可能です。
だから、今、当社でやっていることは、当時とはまったく違います。現在の「日高屋」における、クレーム対応の「鉄則」は、非常にシンプルです。
「すぐに110番する」が鉄則
現場ではなく、会社がすべて対応する
躊躇なく「すぐに110番しなさい」と。ただこれだけです。
何かトラブルがあったとき、絶対に従業員に「抱え込ませない」こと。これが何より大事なのです。店長が一人で対応しようとしたり、ましてやパートさんやアルバイトの女の子が矢面に立ったりしたら、怖くて辞めてしまいます。
ですから、お客様が「誠意を見せろ」とか、お金を要求するような素振りを見せたり、あるいは大声を出して威嚇したり、そういう「普通ではない」と感じた瞬間、現場で対応しなくていい、と。すぐに会社(本社)に連絡する。そうすれば、会社がすべて対応します。
当社は警察を定年退職された方にも顧問に来てもらっていますから。そういうプロがちゃんと対応する。従業員さんの仕事は、美味しいラーメンや餃子を作ってお客さんを喜ばせることであって、クレーマーと戦うことじゃないのですから。
私自身も、過去に金銭を要求されるような悪質なクレームを経験したことがあります。でも、警察にお願いして毅然とした対応をして事なきを得ました。
実は、この経験について、先日、埼玉県警の警察幹部100名の前で講演する機会をいただきました。そのとき、「あのときは本当にお世話になりました。今の会社があるのは警察のおかげです」と話したら、皆さん非常に喜んでくださいました。警察も、そういう民間からの情報や協力がないと動けないですからね。







