インドから帰国する機内
腹痛で気絶した筆者の壮絶体験

 2泊4日のインド旅行を終えた帰りの飛行機で、私は猛烈な腹痛に襲われた。なんとかトイレに駆け込んだところで意識を失い、気が付いたとき、私は全身汚物まみれになっていた。

 感染症の疑いがあるため席には戻らず、飛行中はトイレ内で過ごしてほしいとCAさんから指示があった。が、飛行機のトイレは換気がきいていることもあり、極寒だった。

 私はCAさんに「換気を止められますか?」とお願いしたが、構造上、残念ながらできないらしい。

 CAさんから毛布が手渡された。が、それでも耐えられないくらい寒い……。CAさんから、温かいお湯の入った、2本のペットボトルを渡された。

「このペットボトルはカイロとして使用してください。飲み水としても使えます。下痢のときは水分補給が大切なので、無理のない範囲で飲んでください。新しい毛布も何枚か持ってきました。あと4時間ほどで成田空港に到着するので、何かあったらいつでも声をかけてくださいね」

 トイレには神様が、いや、女神様が本当にいるのだなと感動しながら、私は約8時間のフライトのほとんどをトイレの中で過ごした。

 そして迎えた着陸のとき⋯⋯。CAさんから「着陸はシートベルトの着用が必須なので、席に戻ってほしい」とアナウンスがあった。私は日本語、英語、中国語で「このトイレは使用禁止」と書かれた張り紙が貼られている扉をゆっくりと開けた。

 想像してほしい。アナタは「使用禁止」と書かれたトイレの中から、感染症の疑いで閉じ込められていた乗客が現れたとき、どのようなリアクションを取るだろうか。

 まるでゾンビのような顔色の日本人がトイレから出てきたとき、老若男女、万国共通……。乗客たちは手で口を押さえ、まるでホラー映画を見るかのような表情で、私のことを凝視してきた。

 私は片手を挙げながら「I’m fine!  I’m fine! 」と引きつった笑顔で伝えたが、残念ながら効果は皆無……。

 トイレを出た瞬間から「メンツ」がなかった私は「穴があったら入りたい」と嘆きながら機内を行進。少しでも他の乗客たちとの距離を確保するため、座席変更された機内最後尾の席に着席後、何とか無事に母国へ帰国したのだった……。