サラリーマンでありながら海外の映画祭で日本人初のグランプリを受賞した長久允氏。その思考法と脚本術を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』が発売から話題となっている。佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさんも大絶賛する同書から、抜粋・再構成して特別公開する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
新年度が始まりました。
「いい仕事をしよう」「今年こそは、誰もが驚くような一打を」と気持ちを新たにしている方もいるかもしれません。
しかし何がヒットするかわからない今、少しでも気を抜けば、市場データから逆算された「それっぽい」正解を求めた企画に流れてしまいます。
誰にも否定されないけれど、誰の心も震わせない。
そんな「無難な企画」を量産する日々にならないために、過去の経験から教訓をお伝えします。
「浅い動機」は見破られてしまう
映画監督として世界中の人と向き合う中で痛感したのは、「浅い思考」で作られたものは、たとえ技術的に完璧でも、一瞬で忘れ去られるということです。
過去の名作の構図をなぞれば、それなりの映像にはなるでしょう。
しかし、そこに自身の「なぜそれで心が動いたのか」という切実な動機がなければ、観客にはすぐに見破られてしまうのです。
私が学生のときに初めて作った映画が、まさにそうでした。
とにかく評価されたくて、そのころ流行っていた『パルプ・フィクション』と『マグノリア』と『きょうのできごと』を混ぜて煮込んで、劣化させたような映画を作りました。
大学生の私が当時感じている本当の気持ちや伝えたいことは横に置いて、「それっぽい」かどうかしか判断基準になかったのです。
当然、そんな映画はさっぱりなんの賞にも引っかからず、なんの話題にもなりませんでした。
「誰にも刺さらない企画」の正体
そうならないために、今すぐ捨てるべきものがあります。
それは、「客観性」という名の逃げ道です。
企画職の方は、日々膨大なリサーチを行い、トレンドを追い、上司やクライアントを納得させるための「エビデンス」を積み上げていることでしょう。
私もCMプランナーとしてたくさんの案件に関わっていた際、クライアントさんから「売りたい商品」のオリエンを受けて、それをどう伝えると視聴者が買いたくなるかを何百案も考えて、おすすめをプレゼンするということをしていました。
でもそれがうまくいかなかった。
ふと気づいたのです。どうしてこんなにも自分をすり減らしながら、誰かが作った商品を「なんとなくいい」と思わせることに時間を使っているのだろうか、と。
今だったらわかるのですが、「市場が求めているから」「競合が成功しているから」という理由は、一見論理的ですが、実は思考の放棄に近いのです。
誰にも刺さらない企画の正体は、「自分が本当にそう思っていないこと」を、言葉巧みにパッケージ化したものに他なりません。
「私」という主観を、企画の真ん中に置く
浅い思考から抜け出すための唯一の方法は、徹底的に「主観」に立ち返ることです。
「このサービス、本当に自分でお金を払って使いたいか?」
「このプロジェクトが失敗して叩かれたとしても、自分はこれが正しいと言い切れるか?」
こうした問いに対して、混じり気のない「Yes」があるか。
「主観」は、ビジネスにおいてしばしば「わがまま」や「独りよがり」と混同されます。
しかし、現代のようにモノと情報が溢れた時代において、人々の心を動かすのは「最大公約数的な正解」ではなく、「たった一人の強烈な思い」なのです。
そしてそこに、あなたにしかできない仕事のタネが眠っています。
「自分がいなくても回る仕事」を続けてきた人間は、変化の激しい時代において、真っ先に代替可能な存在になってしまうかもしれません。
何より恐ろしいのは、「自分が何に感動し、何を成し遂げたかったのか」という感覚が麻痺していくこと。
泥臭く、不格好でもいい。あなたの「本当の思い」が乗った企画は、必ず誰かの心に届きます。

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「自分にしかできない仕事」のつくりかた
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佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん絶賛!
「それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

本当のことしか書いていない。
これからの「世界のスタンダード」を伝える一冊
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……