そこに物価上昇と円安が重なることで、日本の貨幣価値そのものが低下し、その影響を受けています。同じ1万円で買えるものが、以前よりはっきりと減ってきました。
言いかえると、日本のお金そのものの価値(=力)が弱くなっているということです。
その結果、手取りで見た生活レベルは、世帯年収1000万円であっても、実質的には海外の年収300~400万円ほどの暮らしに相当するケースもあります。
年収1000万円の家庭は
憧れの象徴ではなくなった
2003年に森永卓郎氏の著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社刊)が話題となりましたが、国税庁の最新の民間給与実態統計調査(2023年)でも、給与所得者5076万人のうち年収300万円以下の人は全体の34.4%を占め、つまり給与所得者のおよそ約4割が年収300万円台以下という現実が浮き彫りになっています。
私はバブル崩壊後の1995年に社会に出ました。当時、年収1000万円といえば給与所得者の上位10%に入る「1人で目指す成功ライン」で、多くの人にとって憧れの象徴でした。しかし、いまは状況が大きく変わりました。物価の上昇や給与水準の伸び悩みもあり、1人で1000万円を稼ぐことは、昔よりずっとハードルが高くなっています。
その一方で、共働きが当たり前になった現在では、「世帯として1000万円を目指す」という現実的な選択肢が広がっています。かつて個人の高所得の象徴だった1000万円は、いまや「世帯で目指す、暮らしを安定させるライン」へと姿を変えつつあるのです。
さらに、厚生労働省「2024年国民生活基礎調査の概況」では、1世帯当たりの年間の平均所得金額は536万円です。内訳を見ると、「高齢者世帯」は314万800円、「高齢者世帯以外の世帯」は666万7000円、「子供のいる世帯」は820万5000円となっています。現在、年収1000万円以上の世帯は12.3%となっています。







