
就職氷河期世代の悲劇は年収が上がらないことだけではない。上の世代と同じ年収に達しても、税金や社会保険料の負担増で「手取り」が減っている。特集『大企業が賃金を収奪!「階級社会」の不幸』の#4では、氷河期世代の残酷な手取り格差の実態に独自試算で迫る。(ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)
採用・昇給で冷遇されてきた氷河期世代
そして「手取り」も減っている
就職氷河期世代は、新卒採用時の初任給が低く抑えられ、その後の昇給も冷遇されてきた。バブル世代に比べて、年収は低い水準にある。
額面の収入で割を食っている氷河期世代。「手取り」ベースではさらに切実な現実が見えてくる。
「手取り収入」とは、額面年収から「税金(所得税・住民税)」と、「社会保険料(厚生年金・健康保険・介護保険・雇用保険)」を差し引いたもの。つまり、実際に“使えるお金”だ。
給与や退職金、年金などさまざまな収入の手取りの試算をライフワークとしている筆者は、給与の手取りを2002年から毎年計算している。今回はポスト団塊世代が40代だった1995年から、バブル世代が40代になった05年など25年までの30年間で、手取りがどう変化したかを額面年収別に試算した。その結果は衝撃的なものだった。
年収1000万円の場合、30年前と比べ手取りが実に76万円も減るケースもあったのだ。次ページでは、年収や家族構成別に、世代ごとに手取りがどう変化していったのかの試算結果をお届けする。