自撮り(セルフィー)の発案と誕生

――自撮りは高尾さん発案ですよね。

高尾:はい。私が発案し、シャープさんに開発していただきました。ただ、シャープさんの最初の提案の中には自撮りができるための鏡がカメラモジュールに付いていませんでした。

 当時、女子高生の間で流行っていたのがプリクラ。彼女たちは風景を撮りたいからカメラを持つわけじゃない。そこでシャープさんに、彼女たちは自分たちを撮りたいはずなので、自撮りができるようにしてくれと頼んだのです。技術的には難しかったみたいです。解決策を見つけてくれたのはシャープのデザイナーさん。広島にシャープの工場があるんですけど、みなさんだいたいクルマ通勤なんですね。クルマ通勤で行く中でカーブミラーを見て、これだ!と思いついたそうです。それで、カメラのモジュールの隣に凸面鏡が付きました。凸面鏡がついたのは、カーブミラーからの発想なんです。

――当時はまだインターネットが載っていないわけで、技術的な難しさもあったでしょうね。

高尾:はい。シャープさん側は相当苦労していました。要は普通の携帯電話の中にカメラモジュールという別の物体を入れ込まなきゃいけない。フレキシブル基板という折れ曲がる基板を使うことになるのですが、折れ曲がる基板を入れると、クネッと曲がったりする。そうなるとノイズが乗って画(え)が撮れない。量産直前まで試行錯誤の連続だったと聞いています。

――「写メール」は広告の印象も強いです。

高尾:マーケティングメンバーは営業部隊にいたので、開発部隊にいたわれわれは、ほとんど広告宣伝には関わっていません。こういうものができるんだよと、マーケティング部隊や広告部隊に説明しただけです。最初は「モバイルカメラ付き携帯電話」という名前だったんです。その後、郵便で写真が送れるので「画ビーン」だとか、名前候補は2~30は挙がったかな。その中で「写メール」っていうキーワードが一番しっくり来て、新たなキャンペーンを打ったところ加速度的に広まっていきました。