改正区分所有法は、「経年物件の解体は区分所有者の責任」をうたう(写真はイメージです) Photo:PIXTA
2026年4月、区分所有法をはじめマンション管理に関する4つの法律(※1)が改正された。中でも区分所有法には、「建替え」以外の新たなマンション再生手法が明記され、建物の状態によってはこれらの決議要件を緩和するなど、大幅な変更が加えられている。管理不全の解消はもとより、国は最終的な建物の手じまいまでを区分所有者の責任とする意向だ。(文/出口富士子)
自治体に管理不全対策を迫った深刻な出来事
住宅の管理不全防止を目的に作られた法律をさかのぼると、2015年に「空き家特措法」が施行されている。同法によって、管理不全を放置する「特定空き家」の固定資産税引き上げや、最終的には行政代執行による解体が可能となった。
もちろん、マンションも適用の対象だ。だが、全専有部分が特定空き家状態にない限り罰則の適用はなく、実効性は限定的だった。
転機となったのは、20年に起きた2つの出来事である。
一つは、滋賀県野洲市で管理不全に陥った小規模マンションが、行政代執行により解体された事例である。解体にかかった費用約1億2000万円の回収は困難を極め、自治体の財政を直撃した。
もう一つは、神奈川県逗子市でマンション敷地内の擁壁が崩落し、近くを歩いていた女子高校生が亡くなった事故だ。土地の工作物責任を負う管理組合は多額の損害賠償を求められ、行政も応急修繕のために数千万円を立て替えることとなった。
これらを契機にマンション管理適正化法が改正され、22年には地方自治体が管轄域内マンションの管理状況を主体的に把握・指導する「マンション管理適正化推進計画」制度が創設される。
しかし、それでも経年物件の“終活”という究極の問題解決には届かなかった。
従来の区分所有法では、マンションの再生手段として実質的に認められていたのは、建替えのみ。この分野に詳しい弁護士の戎(えびす)正晴氏は「選択肢が建替え一択、実施例もごく少数では実態と合わない」と話す。
※1 区分所有法、被災区分所有法、マンション管理適正化法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律







