main築33年目で排水管の修繕を行った東京湾岸タワーマンション「シティフロントタワー」   写真提供:カンドー

大都市の景観の象徴となったタワーマンションも、築年数を経るごとに外観からは見えない部分の劣化は進む。東京湾岸タワマンの草分け的存在「シティフロントタワー」では、築30年を前に「排水管」劣化の兆候が確認された。暮らしに欠かせないこの重要インフラを今後数十年を見通してどう修繕すべきか。290世帯が検討を重ねて実施した修繕工事の約5年に及ぶ軌跡を検証する。(文/タカハシトモコ)

湾岸タワマン、築33年目の排水管修繕

 タワーマンションは、1970年代の登場以来2000年代に入って続々と建設され、今ではその多くがランドマークとして街の景観を形づくるまでになった。しかし、築年数を重ねた建物では、外観からは見えない部分に経年劣化による修繕の必要性が生じてきている。その一つが、生活を支える重要インフラ「排水管」だ。

city front tower地上31階、地下2階、総戸数290戸の「シティフロントタワー」は、1991年8月竣工。東京湾岸タワーマンションの草分け的存在  Photo by KUNIKO HIRANO

 91年に竣工(しゅんこう)した「シティフロントタワー」は、東京湾岸エリアにおけるタワーマンションの草分けともいえる存在。大規模修繕は08年に1回目を実施し、次は28年に計画しているが、それを前に築33年目を迎えた25年、排水管の修繕工事を行った。

 発端となったのは21年、ある住戸が内装工事でパイプスペースの壁をはがした際、鋳鉄製の排水竪管(たてかん)に漏水跡のような染みが見つかったことだった。詳しく調べたところ、小さな穴が開いていることが認められる。

 本来、排水竪管を含む大規模修繕は、長期修繕計画で築40年目に予定していた。しかしながら「予想以上に腐食が進んでいるかもしれない」と危機感を抱いた理事長の山下善照氏は、理事会で検討を開始する。

 まずは協力住戸を募り、抜管調査を行って管内の状況を確認した。その結果、案の定腐食は進行していて、今にも穴が開きそうなほど内壁が薄くなった部位が複数あることが判明した。

 この状況に速やかに対応するため、理事会の声掛けにより修繕委員会が立ち上がる。委員会は、マンションを建設したゼネコンと、平素から助言をもらっているマンション改修コンサルタントに意見を聞き、管理会社にも相談した。

 そうしながらも、一切を専門家任せにはせず「自分たちでやらなければいけない」との思いで修繕法の情報収集にも着手する。