「解体責任」を問う改正区分所有法
再生手法検討に“マニュアル”大再編
■識者に聞く■
マンションの再生等に係るマニュアル等に関する検討会 座長 戎 正晴 弁護士
マンションの再生等に係るマニュアル等に関する検討会座長 戎 正晴 弁護士
これまでは、マンションを長寿命化して資産価値を維持することが、管理を行う上での至上命題でした。
通常の長期修繕計画は20〜30年が標準的なサイクルで、これを繰り返すことで建物を維持しようとしてきたわけです。
しかし、今後20年で築40年超の経年物件が500万戸に迫ろうという時代(※3)は、マンションの「終活」までを念頭に置いた管理への発想転換が必要です。
2026年4月1日に施行された改正区分所有法では「最後は建物を区分所有者の責任と負担で解体する」という原則の下、建替えが不可能な場合を想定し、建物取壊し敷地売却、取壊しといった新たな“再生”手法が示されました。
国は、70~100年という超長期の修繕計画の必要性をうたうと同時に、その終点を「解体」と位置付けたのです。しかし、住民の高齢化や物価の高騰で、建物の解体費用の確保は今後ますます困難となるでしょう。
これについては、国の政策として解体費用を確保するための積み立てや、保険制度の創設が検討されています。修繕積み立てと同様に、「解体積み立て」や「解体保険」の必要性にも国が言及しているということです。
このように大きく変わる法律に合わせて、国土交通省の「マンションの再生等に係るマニュアル等に関する検討会」(※4)は、25年8月から急ピッチで既存マニュアルの抜本改革を行ってきました。
従来は「建替えか修繕か」という限られた選択肢での「合意形成」の手順が主な内容でしたが、今回は、多様化する再生手法のうちどれを選ぶか、比較検討の枠組みから決議後の実務手順まで、幅広い内容を整理した結果、その分量は数千ページにも及ぶものとなります。
世の中にマンションの「終活」の必要性が浸透していくのに、時間はそう長くはかからないでしょう。いつか訪れる建物の寿命を見据えて住民間で話し合い、解体を含めた計画を備えることが、区分所有者の責任として求められているのです。
※3「築40年以上の分譲マンション数の推移」(国土交通省)
※4 「マンションの再生等に係るマニュアル等に関する検討会」(国土交通省)参照







