
東京郊外の日野市にある6棟707戸からなる「ニューロシティ」は、2015年に実施した1回目大規模修繕の直後から「次の50年」を見据え、長期修繕計画の見直しに着手した。修繕積立金を「段階増額積立方式」から「均等積立方式」に変更、戸当たりにして月額平均約9000円の値上げに踏み切る。築22年目の現在も良好な管理は維持されており、再販時の評価にもつながっているようだ。新旧の理事にこれまでの経緯を聞いた。
大規模修繕完了直後に「長期修繕計画」再検討開始
2003年8月竣工の大規模マンション「ニューロシティ」が、1回目の大規模修繕を実施したのは、今から10年前の15年3月だった。12年に理事会の外部組織として専門委員会を設立し、翌13年7月に綿密な建物調査を実施。大規模修繕では、外壁塗装やシーリング工事などの補修に重点を置いて修繕を行った。一方で、予定していた屋上防水など一部急を要しない工事を見送ってコストを抑えた結果、費用は何とか当初の計画内に収まった。
だが、無事に修繕が完了した16年3月の時点で、すでに理事たちの目は次の課題に向けられていた。
「今の計画のままでは、いずれ資金不足に陥る……」
第12期で副理事長、14期で理事長を務めた中島篤史氏が中心となり、すぐに新たな長期修繕計画についての検討が行われた。このタイミングで再検討を始めた最大の理由は、竣工時に販売会社から提案を受けた「一時金併用の段階増額を前提とした長期修繕計画」では、恐らく今後の大規模修繕は乗り切れないだろうという危機感にあった。
管理組合では、大規模修繕工事の総括の後、長期修繕検討専門委員会を設置。そこから半年で計画を練り上げていく。専門委員会にはコンサルタントとしてさくら事務所も加わり、20年先、30年先の修繕工事がどのようなものになるかなどの助言を受けながら進んでいった。
マンションも築10年を超えると、次第に外壁塗装やシーリング工事、ルーフバルコニー防水工事といった大がかりな修繕の必要が生じ、その分費用も増していく。ニューロシティの専門委員会は、大規模修繕を12年周期とした場合に36年後の53年(第50期)に行われる第4回大規模修繕までを1クールとして、真に必要な修繕項目とコストを洗い出した。
そして、予想通り大きな課題として浮かび上がったのが、修繕積立金だった。当時の修繕積立金は月額平方メートル単価112円だったが、そのままでは2回目の大規模修繕を行う予定の28年(第25期)で1億8000万円程度の不足が生じ、3回目に至る頃にはさらに大きな赤字となる。それを一時金で補おうとすれば、多くの住民の日常生活に影響を及ぼすのが容易に想像できた。一時金併用型の「段階増額積立方式」には、それほどのリスクがある。
