「量は有限、質は無限」の意味
大切な言葉はより印象深く
――普段のノートとは別に、名前はどうでもいいから、自分だけの1冊を作りなさいと。
望月 高度な内容、すごいなと思った性質、発想や着眼点などをためていくべきだと。毎回の授業でそうしたものが出てくるわけではないのですが、学年が上がり難関中学合格を目指す勉強が進んでいくにつれて、書き残すべき重要事項が増えていきます。それと、重要事項のまとめと関連しているのですが、自分にとってのこの「大事な一題」を、普段のノートとは別のノートにため込んでいくことも大いに価値があると思います。
自分の気づきが図形に書き込まれる
――先生が解説をしているときに、生徒は解説を聞きながら書くのですか。
望月 いえ、解説はいったん中断します。このように書き残しておけばよいのでは、というモデルをホワイトボードに書いて、生徒たちが自分のまとめノートに書きとる時間を与えて待っています。なるべくタイトルを付ける、自分で工夫したタイトルでも構わない。字の大きさ、色、枠、二重線、ビックリマークなども生徒たちにまかせ、とにかく3カ月後、半年後にそのページを開いたときに重要事項が強烈に目に飛び込んでくるようにすること。先輩たちはこう書き残しているのだと、先輩たちのノートを何度も生徒に見せています。教室生が残していってくれた、もらったのではなく預かっているのですが、これらのノートは、教室の財産であり私の宝物ですね。
入江 量ではなく、質の高いノートを作りなさいということですね。僕も「これは面白い」という問題だけのノートを、誰に言われたわけでもないのに作っていました。そういえば、望月先生は以前、月刊「高校への数学」の連載で、「量は有限、質は無限」と書いてらっしゃいました。その真意を改めて教えていただけますか?
望月 ライバルの2倍、3倍努力するのは実際には無理で、量に頼る勉強には限界があります。その意味で、量というのは有限です。その点、質は無限に広がります。塾帰りの生徒二人のノートを見せてもらう機会がありました。同じ塾の同じクラスの授業を受けている高校生です。一人の生徒のノートは板書の模範解答だけでしたが、もう一人のノートには板書の模範解答の脇に先生が口頭で説明した着眼点が書き添えられているだけでなく、先生の雑談まで小さく読めないような字で書いてあった。1回の授業の差はたいしたことはなくても、同じ先生から受ける影響の差は限りなく広がります。
――ちょっとしたことの積み重ねという量が、質に転化していくことが分かります。







