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中学受験塾における東の横綱がSAPIX(サピックス)だとすれば、西の横綱が浜学園だ。その関西での存在感は圧倒的。西の最難関、灘中の合格者数は22年連続ナンバーワン、直近2026年入試でも101人の合格者数をたたき出した。だが、13年から「駿台・浜学園」として首都圏進出を果たしたものの、東での知名度はいま一歩だ。知られざる少数精鋭塾の神髄を各塾のキーパーソンへの忖度(そんたく)なしのインタビューで明らかにする連載『ポストSAPIX 中学受験の少数精鋭塾大解剖』#14では、昨年から首都圏でも塾名を「浜学園」に統一した西の王者を率いる松本茂・浜学園学園長に、首都圏での今後の戦略を聞いた。その対談の前編を掲載する。(教育ジャーナリスト おおたとしまさ)
関西の中学受験塾選びで
ファーストチョイスは浜学園
おおたとしまさ 浜学園さんができたのはいつですか。
松本茂・浜学園学園長 創業は1959年ですね。兵庫県の尼崎がスタートです。最初は「英語数学塾」という名前だったと思いますが、尼崎の「浜」に移転する際に地名を取って「浜学園」になりました。基本的には阪神間がメインでスタートし、今は関西全域です。岡山、愛知にも展開しており、2013年に「駿台・浜学園」という形で関東に出てきました。ネームバリューの部分は最初から苦戦する覚悟があったので、駿台(駿河台学園)さんと組む形を取りました。「駿台」がなくなって「浜学園」というブランドになってから今年で2年目です。
おおた ここ、お茶の水教室は、「駿台・浜学園」の頃から使われているものですか。
松本 そうです。まだ駿台さんの校舎の一部をお借りしたりもしてもいます。完全に関係がなくなったという話ではありません。ただ、当社の社長としては、同じブランド名で全国展開したいという考えがありました。
浜学園「お茶の水教室」。首都圏では東京都と神奈川県に計7教室を展開する Photo by Toshimasa Ota
おおた 実は今回、まず取材を申し込むのに窓口が見つからなくて、恐る恐る教室にお電話しても、「分かる者から折り返しします」と言われてかかってこなかったことが2回続いて、組織が変わって混乱しているのかなあなんて思いました。
松本 申し訳ありませんでした。関東ではそういう関係の体制があまりないんです。折り返し電話をかけないのはダメなんですけど、そういうところに慣れていない。
おおた 分かりました。では、今、関東の生徒数はどれくらいですか。
松本 今年から1年生も始めたんですけれど、全生徒数で言えばおおよそ1000人になっています。関東では低学年の方が多いんです。算数重視型という印象が強いようで、受験勉強に向けてのスタートを切ることを求める方が低学年に来てくれます。で、いつかは関東でおなじみの大手塾へ……みたいな風潮がある。
おおた 低学年のうちに浜学園で算数を鍛えておいて、本格的に中学受験勉強を始めるときに他塾に移ってしまうことがあると。それは厳しいですね。
松本 いきなり課題の話になっちゃうんですが、浜学園のままで最後まで鍛えていけるということをもっと訴えていかないと。そこが自然体になり過ぎた。
おおた 来る者は拒まず、去る者は追わず……みたいな。
松本 良い教育機関として学力を付けることには頑張ったけど、商売としての部分が……。関西では中学受験を始めようかと思ったら、まずうちの門をたたいてくれる部分が大きい。
おおた 圧倒的です。詳しい人であれば、浜学園の灘を目指した算数は東京の中学受験の比じゃないと知っているわけですけど、東京の人は東京しか知らないから、「浜学園って何ですか?」と言う人も。
松本 そうなんです。そこをなんとか打破していく。それはすごく重要です。関東で強い塾さんが関西に出てきてもなかなかしんどいのと同じことですね。
おおた 6年生1学年だと人数はだいたいどれくらいですか。
松本 百数十人くらいです。
おおた 発表されている合格実績は関西との合算ですね。
松本 そうです。浜学園全体ですね。
おおた 例えば「開成42」とありますが、関東在籍者の内訳は?
松本 まだ10人いくかどうかぐらいの感じです。
おおた 灘に受かったような子たちが遠征して合格した数が30人以上いるということですね。
松本 東海エリアの子も比較的多いです。今年なんかだと、東海中学(名古屋にあるトップ進学校)を1月31日に受けて、その後新幹線に乗ってこちらへ。東海中学の入試は今年1月31日でしたから、それが可能でした。関西も東海エリアも、曜日によって毎年入試日が動きます。昨年の東海中学の入試は2月1日でした。
おおた だとすると、東海の入試日がかぶった年は関東での合格実績は構造的に減少しちゃいますね。そして、関東在籍者のみの合格実績はあまりオープンにはしていないようです。
松本 お近くの教室にお問い合わせください。
おおた あと、この企画では合格実績のカウントの仕方についてもしつこく聞いているんですが、ホームページを拝見すると、公開テストだけとか季節講習だけは入れていません、ということですね。逆に、入塾してレギュラーの授業を取っていればカウントします、という理解でいいでしょうか。
松本 そうです。カウントします。ただし9月末までに塾生でないとカウントしません。基本的に6年生の10月からは新しい入塾は認めていないので。
おおた なるほど。関東では9月以降にどれだけ優秀な子を集めるかの競争になってしまっている面があります。
松本 私もこっちに来てそれを知りました。
おおた では本題に入ります。関東に来て、関西の中学受験との違いをどう感じましたか。







