だから、有名観光地に人を集め続ける発想ではなく、まだ知られていない地域を“わざわざ行く理由のある場所”としてどう見せるかが大事なんじゃないでしょうか。単に分散させるというより、地方にもきちんと目的地をつくっていく。
その発想に切り替えないと、インバウンドの量が増えるほど、ひずみも大きくなると思います。単に「人を増やす」だけだと失敗するので、地方に“行く理由”をつくらない限り、6000万人目標はむしろ訪日旅行の満足度を下げると思います。
訪日客向け二重価格を
やらない理由が思いつかない
――仏ルーブル美術館などでは「二重価格」の導入も進んでいます。日本でも、国内客と訪日客で料金を分ける仕組みを導入すべきだと思いますか。
それはやるべきだと思います。むしろ、やらない理由があまり思いつかないですね。宿泊税のようなものも海外では当たり前ですし、観光客が増えることで地域のインフラや生活に負荷がかかるなら、その分を観光客側にも一定負担してもらうのは自然なことです。
日本は、観光客を増やすことには熱心でも、その負荷をどう地域に還元するかの制度設計が弱い。だから現場だけが疲弊してしまう。そこを放置したまま「もっと来てほしい」と言っても、長続きしないと思います。
日本でもやればいいのに、と思いますけど、結局は政治家があまりやる気を出していないだけなんじゃないですかね。
奨学金という名の借金
可処分所得も伸びにくい
――インバウンドが活況な一方で、日本人の海外旅行は伸び悩んでいます。パスポート取得費用の引き下げも打ち出されていますが、日本人が海外へ行かなくなった本質的な理由をどう見ていますか。
パスポート代を下げることに意味がないとは言いませんが、効果はかなり限定的だと思います。パスポートの取得費用が高いから海外に行かない、という人はあまり聞いたことがない。







