日本定住を望む外国人が、カタコトでもいいから日本語を学ぶべき理由写真はイメージです Photo:PIXTA

筆者は、大勢の外国人が短期間に日本に入ることには反対だ。しかし、外国人を受け入れざるを得ない状況を迎えるならば、互いのためにも外国人に日本を深く知ってもらわなくてはならない。日本のように民族的・言語的な均質性の高い国においては、日本語を知ることなしに日本人を理解しようとするのは難しい。日本定住を目指す外国人は、日本語を学んで、日本の心を理解してほしいと強く願っている。(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)

「よろしくお願いします」が通用しない

 名刺交換や自己紹介の締めくくりに、あるいは初めて会う取引先の相手に「よろしくお願いします」と挨拶するのは、多くの日本人にとって当たり前の光景だろう。意識しようがしまいが、その言葉の裏には、相手への敬意(低姿勢)と、今後の良好な関係構築を願う気持ちが少なからず込められているはずだ。

 では、この「よろしくお願いします」を英語で言うとどうなるか?

 たいていは、Nice to meet you.で済ますことが多いと思う。「あなたに会えたという今の事実が、私にとってナイス(心地よい)です」という、感情のポジティブな表明である。

 ただしそこには、「よろしくお願いします」に含まれる謙遜さや、今後の関係構築へのニュアンスはない。英語圏の文化において、そうしたニュアンスは無用の長物だからだ。結論からいうと、日本語の「よろしくお願いします」にどんぴしゃで該当する英語表現は、ない。

 英語圏では、初対面での謙遜する態度は、下手をすると「自信が無いのでは」と思われかねない。今後の関係構築は、行動を通じて互いが自分の価値を証明していくことでこそ、作られるというのが前提にある。

 翻って「よろしくお願いします」は、AI翻訳では対応できない「日本の心」がこもった言葉のひとつだと考える。