サラリーマンでありながら海外の映画祭で日本人初のグランプリを受賞した長久允氏。その思考法を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』が発売から話題となっている。佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさんも大絶賛する同書から、抜粋・再構成して特別公開する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
「好きにやったらいい」とは言うが
本気でやったことが何にもならなかったら、怖いですよね。
大切だからこそ、評価されたいという気持ちはとてもわかります。
自分が心からいいと思った仕事をした。
つらかったこと、悲しかったこと、耐えられなかったこと、加害の懺悔と後悔、不謹慎だから言えずに抱え込んでいたこと、そういうものから目を背けずに書いた。
私は、人生もしくは人生観を脚本に書くという方法を推奨しています。
ですがそれは、ありのままであるゆえ発表するのがこわい、という感情とも表裏一体だと思います。
「無意味ではない」と断言できる
ただ、もしその脚本が誰かに評価されなかったとしても、得られるものは必ずあるので不安がらなくていいです。
これは無責任に言っているわけではありません。
私の創作方法である「人生を脚本にする」という行為自体が、このような意味合いを持っていると思っているからです。
脚本を書くということは「客観的に(自分の人生を振り返り)、おもしろがる」行為。
過去感じた大きな感情を、言葉に吐き出していく。あの頃つらかった自分を、上方からもうひとりの自分が観察して書き記していく。
そうやってある種、エンタメ化していくわけです。つらさは可笑しみに。惨めさは滑稽さに。
や、そこまで変換されなかったとしても、主観的な思い出から一歩抜け出すことができるでしょう。
脚本はセラピーでもあるので
それはなぜか?
それは脚本執筆に、かつて思い出を反芻するだけの「主観的視野」では太刀打ちできなかったその事象に対して、「自分を物語化する」ことで、「当時の自分を、現在の自分がありのままに評価」し「当時の自分をおもしろがる」という工程が必然的に含まれるからです。
つらい体験は、他者からのアドバイスで短期的には忘れられたとしても、また何かのきっかけでぶり返すことがあります。
しかし、自分で見つけた結論はそれよりも強い効力があるでしょう。脚本を書き切ることができたなら、あなたの物語はなんらかの結論を迎えているはずです。
自分自身によって(もしくは自分の中にあるもうひとりの自分のメタ視点によって)その物事を肯定できた/受け入れられた場合、その苦しみから解放される可能性が高いのではないでしょうか。
もしくは改めて受け入れられないことを客観的に再認識することになったとしても、それには必ず意味があるはず。
私も、広告会社の仕事から一歩離れ、自分が感じたことや想像したことに嘘をつかずに書こうと思って有休10日で作った映画から、映画監督のキャリアが開けました。
真ん中にあなたが全力で伝えたいエモーションがあるならば、それでいい。それこそが良いのだということを、私は伝えたいのです。

世界が注目する脚本家が初めて明かす、
「自分にしかできない仕事」のつくりかた
大好評、重版出来!!!
Amazonランキング1位! (「映画の本(総合)」2026年2月21日~23日)
佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん絶賛!
「それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

本当のことしか書いていない。
これからの「世界のスタンダード」を伝える一冊
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……