相鉄グループ、パナソニック、中川政七商店、黒木本店、尾鈴山蒸留所、久原本家 茅乃舎、そしてくまモン……様々な案件で大ヒットを生み出してきたクリエイティブディレクター・水野学氏。さぞや忙しいのでは、と思われがちだが、実は毎日8時間睡眠のゆったりした生活を送っているという。
それは独自の時間の使い方があるからだ。いったいどうしたら、焦らず、慌てず、余裕のある生活ができるのか? 水野学氏の著書『逆算時間術』(ダイヤモンド社)から探ってみたい。
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「物事を小さく見る」感覚が身につくと、日々の判断が軽くなる
「こうなっていたいな」という姿がぼんやりある中で、独立後、ありがたいことにたくさんの仕事と向き合うことができるようになりました。仕事が増えれば増えるほど、足りなくなるのが時間です。
そこで気づいたのは、実は時間がないわけではない、ということでした。「時間がない」という言葉はよく使われます。でも時間は有限ではあるけれど、なくはないのです。なぜなら、つくることができるから。
仕事をしているとつい、完成するまでやろう、と思いがちです。でも実は「完成」というのは、どこがゴールなのか、設定によって変化します。そして、適切なゴール設定をすれば、時間をつくることができるのです。
例えば子どもにお弁当をつくるとします。おいしいお弁当をつくって、我が子に持たせてあげたい。となると、どこが完成になるのでしょうか。
料理のすごさだけでいえば、世界的なフランス料理のシェフであるアラン・デュカスがつくったほうが、驚くべきお弁当ができるに決まっています。でも、自分はアラン・デュカスにはなれない。しかも、子どもが出かける時間になれば、必ずお弁当を渡さなければなりません。だとすれば、「ここでおしまい」という時間は決めなくてはならない。
つまり、自分の力量と自分の持っている時間の中でできる限界。これこそが完成なのです。
これは、仕事に限った話ではありません。日々の判断すべてに言えることです。
絶対的な正解などない。だとすれば、目の前の判断が本当にそれほど重要なのか、一度立ち止まって考えてみるといいのです。
重要度が低いことに時間をかけると、「時間の無駄」が生まれます。すぐに決めていいことは、さっと決めてしまう。「時間が来たら終える」を、自分の中でルールにしていく。そうすることで、本当に大事なことに使える時間が、相対的に増えていくのです。
そのためのわかりやすい訓練法があります。レストランに行ったとき、メニューで悩まない、席についたら、さっと決めてしまう。
「いやいや、食べたいものくらい、ゆっくり考えたら……」そう思うかもしれません。でも、そのお店を選んだ時点で、どのメニューでも、味のクオリティはある程度保証されています。ハンバーグも、エビフライも、きっとどちらもおいしいのです。
しかも、1週間後には何を選んだか、もう忘れてしまっているかもしれない。ならば、メニューの決断は、きっと、さほど大きな問題ではないのです。
こんなふうに「物事を小さく見る」感覚が身につくと、日々の判断がずいぶん軽くなります。
大抵のことは実はそれほど大きな決断ではない。そう気づけると、決断までの時間が自然と短くなっていく。そうすることで、本当に大事なことに集中できる時間が増えていきます。
悩む時間のロスを減らすことで、自分の時間が増える。「時間がない」という状況を、少し変えることができるはずです。
※本稿は、『逆算時間術』水野学(ダイヤモンド社)から一部を抜粋・編集して掲載したものです。







