「負荷から逃げる選択」が
結果として「順番のミス」を生む

 カールトン大学のピチルは、人が先延ばしをする際の引き金となるのは、主に「退屈であること」「イライラさせられること」「大変であること」「曖昧であること」「まとまりがないこと」「ご褒美がないこと」「意義を感じられないこと」の7つであると言っています。

 重要度が高く緊急度が低いタスクは、このうち「大変である」「(期限が)曖昧である」「(すぐに)ご褒美がない」に当てはまるといえるでしょう。

 こうした「負荷から逃げる選択」が、結果として「順番のミス」を生み、時間をムダにする原因となってしまいます。

 脳には「重要でなくても期限が迫っているタスク」を優先してしまうクセもあります。これを「単純緊急性効果」といいます。

 ジョンズ・ホプキンス大学のズーらが、被験者に「期限が早いタスク」と「期限は遅いが重要で報酬も高いタスク」のどちらかを選ばせる実験を行ったところ、多くの人が「重要度が低く、早く終わるタスク」を選びました。

「一つのタスクを終えた」という快感は、脳内で報酬として処理されます。そして時間がなく忙しい状況であればあるほど、人はどうしても、タスクの重要度より、期限が迫っているかどうかに注意が向きやすくなっていきます。

 その結果、期限や必要な時間だけを重視し、重要でなくても緊急度の高いタスクを優先してしまうのです。

 重要な仕事に取り組む大変さから逃げるために、簡単なタスクや締め切りの近いタスクを先に片づけてしまう人もいるでしょう。

 こうした行動は、短期的には「終わった」という達成感や安心感をもたらしますが、一方で時間のかかる重要な仕事や、集中力を要するクリエイティブな仕事に割くべきリソースが削られてしまいます。

 さらに、重要な仕事に取りかかれない状態が続くと、「また今日もできなかった」という焦りや罪悪感が積み重なり、結果としてストレスやパフォーマンス低下を招きます。

 実際、ルーマニアのバベシュ・ボーヤイ大学のカルメンらが行った研究では、課題を先延ばしにした学生ほど、学業成績が低下する傾向があると報告されています。

 下記の「時間管理マトリクス」などを活用し、すぐ終わる仕事ほど後回しにする。それが結果的には、時間の節約につながるのです。

【今回の学び】
脳には、簡単な仕事や緊急性の高い仕事を優先させる仕組みがある。しかし重要な仕事を先にやることが、余裕を生み、「時間のなさ」をなくすことにつながる。
【参考文献】
Rosenbaum,D.A.,Gong,L.,&Potts,C.A.(2014). Pre- crastination: Hastening subgoal completion at the expense of extra physical effort. Psychological Science, 25, 1487‒ 1496.

Pychyl,T.A.,&Sirois,F.M.(2016).Procrastination, emotion regulation, and well-being. In F. M. Sirois & T. A. Pychyl (Eds.), Procrastination,Health, and Well-Being (pp. 121-146).Academic Press

Zhu,M.Yang,Y.,&Hsee,C.K.(2018). The Mere Urgency Effect. Journal of Consumer Research, 45(3),673‒690.