その後、そうした「机上の検討」を踏まえて、実地調査ということで、中国出張に行くことになりました。

 上海、北京、青島、広州などに滞在し、全く言葉も通じない中で現地コーディネーターのアレンジで食品メーカーや倉庫オペレーター、スーパーの調達担当者などの話を聞いて回りました。

 また、インタビューの合間には、現地の市場やスーパー、百貨店などをまわり、どういう商品ラインナップがどれくらいの価格帯で販売されているのかを見ながら、冷凍・冷蔵がどれくらい浸透しているのかを確認していきました。

 こうなると、もう「面白い」という感覚を超えて、「この領域に日本で一番詳しくなってやる」という気持ちが強くなってきます。どんどん興味が湧いてくるのです。

 例えば、当時の市場では、氷の上に食材が置かれていましたが、そもそも、ウサギや鶏をその場で解体して販売しているので「食材を冷やして運ぶ」ということが必要ないということが見えてきたりします。そうなると「冷蔵庫」は必要だが、「コールドチェーン」や「冷凍庫」がなくても良い、ということになってしまいます。

 また、鉄道で地方から都市部に野菜を運搬する時には、冷やして運ぶのではなく、荷台に大量に載せて運搬していました。詳しく話を聞くと、直射日光が当たった上層部分の野菜が腐り、その汁が溜まった下層部分も傷んでしまうが、真ん中あたりは無事に届くという状況が見えてきます。上下を捨てても、冷凍・冷蔵設備を使って運搬するよりも安上がりだ、というのです。

 あるいは、冷凍・冷蔵設備を調達する担当者に、「日本製の機械は高いが壊れにくいし、ランニングコストも低いが、どう思うか」と質問すると、「このエリアでは定期的に停電するから、いくら壊れにくいと言っても、停電によって圧縮機内に液体が発生したら一発で壊れるから関係ない」「日本製品が3倍高いなら、中国製品を3回買い換えたらいい」「いくらランニングコストが安いと言っても、その削減効果が明確になる前に、自分は転職しているだろうから関係ない(目の前の調達コストで評価されるので、そちらを優先したい)」というような回答が返ってきてしまい、自分の常識が全く通用しないことを学びました。