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こだわりが強く完璧を求めすぎる子どもが、自閉スペクトラム症(ASD)と診断されることがある。しかし、その子はASDではなく強迫症かもしれない。強迫症の不器用さは治療で改善可能にもかかわらず、誤診のせいでその機会を奪われる子が数多くいる。似た特性を持つ両者を見分ける方法を、強迫症を40年診てきた医師が教える。※本稿は、精神科医の原井宏明、精神保険福祉士の松浦文香『強迫症とうまくつきあう』(さくら舎)の一部を抜粋・編集したものです。
強迫症を患うのは生まれ持った
体質のせいと信じられていた
20世紀までの精神医学では、どの精神障害にも病前性格(病気になる前の性格)や気質(個人の性格の基礎となる遺伝的、生物学的な感情傾向、または性質)があることになっていました。
うつ病にはメランコリー親和型性格(編集部注/勤勉、几帳面、真面目で、他者への配慮をしすぎてしまう性格)、躁うつ病には循環気質(編集部注/明るく社交的かつ世話好きで、友達も多い性格)、てんかんには粘着気質(編集部注/保守的で感情の動きが少ない一方、ときに頑固で激しい感情放出を見せる性格)などです。生まれ持った素質が精神障害の原因であると想定されていたのです。
強迫の理論家として知られたレオン・サルズマンによれば、強迫症(編集部注/強い不安やこだわりによって、日常生活に支障をきたす病)の患者はすべてをコントロールしようとし、それが可能であるという万能的な自己像を持つとされていました。精神病理学者の笠原嘉も「確実で予測可能な世界を構築できるという空想的万能感を抱いている」としていました。







