男の子の成長が止まって見えるとき、つい「もっと頑張りなさい」と言いたくなる。しかし、その一言が逆効果になりかねないと聞いたら、どうだろうか。男の子には成長の途中で足踏みする「踊り場」の時期があり、そこで否定的な言葉をかけると自己肯定感を損ない、潰れてしまうことがあるという。進学塾VAMOS代表・富永雄輔氏の『男の子の学力の伸ばし方』には、この踊り場を「伸びしろ」に変えるための親の関わり方が具体的に示されている。本連載では、本書の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
男の子には「踊り場」がある
女の子は一段ずつ着実に階段を上っていくのに対し、男の子の成長には「踊り場」がある。
小学校3年生くらいまでは、女の子のほうが圧倒的に高いところまで上っているように見えるが、この踊り場の時期に、親がやってはいけないことがある。それは否定的な言葉を投げつけることだ。
著者によれば、まだ自己肯定感が十分に育っていない幼い男の子に「そんなことしていたらダメだ」と言えば、それだけで彼らは潰れてしまうという。
踊り場でいつまでも足踏みしている男の子に「そんなことしていたらダメだ」と否定的な言葉を投げつけてはいけません。踊り場での一見ムダな時間は、あとで大きな伸びしろとなる可能性があるからです。(『男の子の学力の伸ばし方』より)
一見ムダに見える停滞期こそ、のちの爆発的な成長に向けた「ため」の時間だと著者は考えている。
ここで焦って叱るのではなく、踊り場の時間を「伸びしろ」として信じて待つ姿勢が重要なのだそうだ。
「できること」だけやらせる戦略
では、踊り場で足踏みしている男の子に、親は具体的になにをすればいいのか。
著者の答えはシンプル。できることしかやらせないのが正解だ。
1学年下の算数の問題でも、漢字の書き取りでもいい。その子なりにできることに着目し、繰り返し解かせる。
簡単なことをどんどんやらせて「できる」と実感させると、それが「自分はほかのこともできる」という根拠のない自信につながっていく。
この「根拠のない自信」が、男の子の成長を後押しする力になるのだ。
同じ問題でも、「できる」と思って挑むのと自信がないまま向かうのでは結果がまるで違う。
受験本番のような緊張する場面で「いつもできているからできる」と思えるかどうかは、日々の小さな成功体験の積み重ねにかかっている。
成功体験は勉強でなくてもいい
本書の興味深い点は、著者が成功体験の範囲を勉強だけに限定していないところだ。鉄棒、跳び箱、縄跳び――なんでもいいと書かれている。
そういった成功体験を手にしたときに、「だったら、なんでもできる」という気にさせてあげると、男の子は面白いように伸びます。(『男の子の学力の伸ばし方』より)
できなかった逆上がりができた。5段しか跳べなかった跳び箱で8段をクリアできた。
そうした身体的な達成感が、勉強への自信にも波及していくのだろう。ジャンルを問わず「できた」を積み重ねることが、男の子の自己肯定感を膨らませるカギになる。
「根拠のない自信」が子どもを強くする
著者は、難関校出身者が東大に合格しやすい理由について、学力だけでなく「メンタルの要素」が大きいと指摘する。
「僕は東大に行ける。だって、これまでもクリアできているんだから」という感覚は、幼い頃からの成功体験の蓄積が生み出すものだという。
根拠がなくても「自分はできる」と信じられる子どもは、困難な場面でも粘り強く取り組めるようになれる。
親の役割は、その根拠なき自信の「種」を、日常のなかで一つひとつ蒔いていくことなのだろう。
生徒を選抜せずに難関校に続々合格! その秘訣とは?
<大反響! 連載人気ランキング>
第1位:「男の子の学力」を伸ばすために親が知っておきたい育て方
第2位:男の子の学力は「机に向かう姿勢」で9割決まる
第3位:男の子の「折れない心」を育てるためのコツとは?
【著者からのメッセージ】
私は、「進学塾 VAMOS(バモス)」の経営者として、「入塾テストなし・先着順」と生徒を選抜することなく、多くの子どもを難関校へと導いてきました。
「どんな子でも必ず伸びる」という確信が、私にはあります。こと「伸び率」に関して、私はどこの学習塾にも負けない自信があります。それは単に実績の話だけではなく、再現性のある学習メソッドを取り入れているからです。
具体的には本書のなかでお伝えしますが、学力を伸ばす勉強には、明確なロジックがあると考えています。
多くの人は学力をセンスや才能のたまものだと考えていますが、実際にセンスが必要となるのは、ごく一部の天才同士の戦いに限られます。ほとんどの子どもにとっては、そもそもセンスは必要ありません。
また努力は必要ですが、どれだけ長時間勉強しても、正しい努力でない限り結果がともなわないのは、社会人にとっての仕事とまったく同じです。
本書は、学力が伸びるメカニズム、「わかる」ことのブラックボックスを可視化しながら、どんな子でも学力を伸ばせる考え方や手法をお伝えします。
•勉強はしているのに、どうしても子どもの成績が上がらない
•子どもの中学受験を考えていて、もっと効果的な勉強法を知りたい
•受験勉強には反対だが、子どもに将来役立つ学力を身につけてほしい
•子どもに自分から勉強してもらいたいと思っている
•自由放任で育てたら、子どもが全然勉強しないと悩んでいる
•夫婦間で、子どもの勉強への取り組みに熱の違いがある
こうした方に、本書はとくにおすすめです。
多くの人は、子どもの学力を伸ばすために、問題を解く魔法のノウハウや、「センスのいい考え方」を期待するかもしれません。しかし、そうしたものは存在しません。
学力が伸びるプロセスを分解すれば、基礎となる知識の「点」を増やして、それを効果的につなげて「線」にしていくということです。言い換えると、「つながる」ということが、「わかる」ということです。
算数には問題を解く土台としての「九九」がありますが、実はほかの教科にも「九九」にあたる基礎があります。それを反復トレーニングで学び、基礎同士を上手につなげること。学力が伸びる構造は、センスではなくロジックなのです。
本書では、男の子の学力を伸ばすために、親ができることすべてを紹介しました。
まず、序章で「学力を伸ばす基本的な考え方」をまとめています。第1章では、「男の子の本能的な7つの特徴」について、第2章ではその特徴を活かした、「学力を伸ばす5つの絶対法則」について解説します。
第3章では、「考える力を養う13のコツ」、第4章では男の子がとくに苦手な「目標・計画術のテクニック」を紹介します。第5章は、具体的に、算数・国語・理科・社会の成績を効率的に上げる「必修4教科の勉強法」を細かく見ていきます。そして、第6章で男の子が「自主的に学習するための習慣づくり」を、最後の第7章では、「成績を伸ばせる親の習慣術」をまとめていきます。
本書は、あくまで学力を伸ばすための入口に限定していますが、そのために親ができることすべてを1冊で網羅した内容となっています。試せるところから、ぜひ実践してみてください。
子どもたちには、親が考えている以上に潜在的な力があります。
左脳が発達していない男の子は言葉足らずで、親から見るとなんとも頼りなく感じるはずです。しかし、彼らはあるとき、ちょっとしたきっかけで大化けします。ここが、男の子の面白いところです。
本書が、その能力を引き出す一助になれば、著者としてこれ以上嬉しいことはありません。