「麻雀もパチンコも、“理不尽”なことが何度も何度も起きます。1日中パチンコ台を回し続けて10万円失ってしまう日もある。でもその理不尽さを許容して、期待値の高い行動を繰り返し続けることで、最終的に勝つことができるんです」

 某哲也さんは、会社帰りの平日夜や休日にパチンコで稼ぎ、20代にして3年間で1000万円をつくった。こうして、麻雀とパチンコで培った「期待値」への理解が株での成功にもつながっているという。

東京電力株に1000万円を一気に投入も
メンタル持たずに3週間で撤退

 株を始めたきっかけは、2011年の東日本大震災で、東京電力の株価が10分の1まで下落していたためだ。

「電力というインフラが、世の中から消えるとは思えませんでした。株価がゼロになるより、元に戻る(10倍になる)可能性のほうが大きいのではないか」――こう考えて、パチンコで稼いだ1000万円を全額、東京電力株に投入した。

 しかし、低位株と化した東京電力株はデイトレーダーの標的となっていて、値動きが荒かった。1000万円というまとまった額を投入したため、毎日の資産の振れ幅が大きく、株価が1%動くだけで10万円、2%なら20万円と資産が増減する。メンタルが追い付かなかったという。また、改めて東京電力について調べたところ、国有化のリスク*などがあることを知り、自分の見通しの甘さを痛感した。自信がなくなり、この投資は2〜3週間で引き揚げてしまった。

*国有化に際して、株券を無価値にする「100%減資」の可能性が取り沙汰された。また、上場を維持したままの公的資金注入であっても、大規模な増資によって1株当たりの価値が極端に下がる「希薄化」が懸念され、投資家はパニックになった。

 幸い大きな痛手はなく、一から勉強して出直すことに。「かぶ1000」さんや「みきまる」さんなど、長期投資家のブログを読み漁り、バリュー(割安株)投資で出直した。さまざまな手法を試し、投資家仲間からの刺激も受けながら、徐々に自分の投資法を確立していった。そして辿り着いたのが、「お昼寝投資法」だ。

「自分は文字を読むのが苦手だし、企業業績の分析も好きじゃない。サボって楽しながら資産を増やしていきたい、というのが本音です。自分の『お昼寝投資法』は、100点を目指すのではなく、少ない労力で70点を取ろうという手法です」

 初心者でも簡単にマネができ、年率15%の運用成績を狙うものだ。そのお昼寝投資法を紹介する。

簡単な項目をチェックするだけ
お昼寝しながら資産を増やせる

 お昼寝投資法は、業績が伸びる会社を割安に買う「収益バリュー投資」だ。まずは、いくつかの項目をチェックすることで、良質な割安株を絞り込む。

(1)配当利回りが2.5%以上あり、 配当性向は50%以下
配当利回り2.5%以上に絞ることで、自然と割安株だけをピックアップできる。ただし、減配すると株価が下がるため、そのリスクは排除したい。配当性向が50%以下であれば増配余力があり、減配しにくいと判断する。

(2)売上高と営業利益が4~5年伸びている
業績が安定して伸びているか見る。特に重視するのは「売上高」の伸びだ。ビジネスが健全に拡大しているのが望ましく、「売上高が5年連続で伸びている」ことを必須条件にしている。一方で利益は、一時的な費用増などで減益になることがあるため、マイナスの年があってもよしとしている。

(3)最後に10年間の傾向をチェックする
上の2つの条件をクリアしたら、さらに過去10年分の業績と配当もチェックする。売上高成長を重視するのは変わらないが、コロナ禍の2020~2021年だけは例外としている。配当も10年間減配がない、つまり累進配当的であれば合格だ。

 某哲也さん自身は、まず『会社四季報』で(1) (2)の銘柄を絞り、次のステップで『株探プレミアム』などを使って10年間の傾向を確認している。最初から、証券会社のスクリーニング機能などで定量的に絞ると、魅力的なオイシイ銘柄を見逃してしまいがち。「営業利益がマイナスの年があってもよし」など、あえて基準を緩くしているのがコツだ。

 これで上場約4000銘柄のうち300銘柄程度に絞り込まれる。候補銘柄としてExcelに記入すると同時に、四季報などを読んで定性的な評価もチェックしている。

売買タイミングも重要
PERが割安圏にあれば買い

 株式投資の成否を分けるのは、一に「銘柄選び」、二に「売買のタイミング」だという。チェック項目で銘柄を絞り込んだら、次は買うタイミングだ。某哲也さんは、過去のPERの推移を見て、買い時を探る。他社との比較ではなく、その企業の過去10年間のPERのレンジが判断材料になる。

 例えば、過去10年間のPERが8~12倍の間で推移している銘柄なら、PER8倍は割安、PER10倍は妥当、PER12倍は割高という判断だ。

 このケースでは、PERが10倍以下ならとりあえず買う。株価が下がり、PERが8倍に近づくにつれ、買い増していく。そして、株価が底打ちしてPERが10倍になった時点で一部を売却(利益確定)。さらに過去のPERの天井付近であるPER12倍で全部売却する。

 PER10倍で買った株が下がり、PER8倍になると含み損を抱えることになるが、「リターンを得られる期待値は上がっている」と考えて買い増しするのが、某哲也さん流だ。ただし、PERの底だと判断したPER8倍を割り込んだら、何らかの特殊要因がありそうで、開示情報などを詳しくチェックする。

 もう一つの売り基準は、配当利回り。株価が上がり、配当利回りが2%を切ると、バリュー株としての魅力が薄くなったと判断して、売却対象になる。

 お昼寝投資法の極意は、ルールを単純化していることだ。「文字や業績をチェックするのは面倒くさい」というのが出発点で、機械的に売買するのが特徴。初心者でもマネしやすいので、参考にしてほしい。

本記事は2026年4月8日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。