したがって、乾電池1個を100%充電するにはその300倍、つまり300時間走る必要がある計算だ。
「クロネコヤマトの宅急便」で知られるヤマト運輸が2023年に公開したYouTube動画では、猫1匹が回し車で走ってまかなえる電気料金は0.3円、ゴールデンハムスターは猫より小さいが一生懸命走るので1円になると計算されている。
『ネズミはなぜ回し車で走るのか』(中島定彦、岩波書店)
大手企業がジョークにしているこのテーマに、まじめに取り組んだ高校生がいる(しかも、それらの約10年前に)。徳島県立城南高等学校の立山仁美さんだ。ペットのジャンガリアンハムスター1匹を対象に、発電装置をいろいろと工夫し、最大0.1Vの発電に成功したという。
15匹がフル稼働すれば1.5Vの乾電池1本に匹敵するが、残念ながら変動が大きい。彼女の結論は、「ハムスターには集中力がないこと、発生する電気が微弱であること、安定した発電量が期待できないことなどから、実用化はできそうにない」というものである。
この問題に真剣に取り組んだのは彼女だけではない。回し車発電はふつう、回し車の動きを電力に単純変換するのだが、ジョージア工科大学のジョン・リン・ワン博士らは、ハイテクでチャレンジした。キャンベルハムスターの背中に酸化亜鉛のワイヤーを貼りつけ、走るときに生じるワイヤーの屈曲や振動で発電する装置を考案したのだ。1匹で0.1V程度の電力が得られたという。このワイヤーは最先端のナノテクノロジーを駆使して作成されたものだが、悲しいかな、高校生がローテクの自由研究で報告した程度の電力しか出せなかった。苦笑するしかない。







