現代の農畜産業は大型トラクターを動かし、1年中ボイラーを焚いて室温を調整した畜舎やビニールハウスなど工場のような施設を利用し、大量の化学肥料を使用します。

「真冬にイチゴを食べたい」というような贅沢な要求に応えれば「儲かる」ことから、現代の農畜産業は自然の姿とはほど遠い環境で生物を育成するため、エネルギーの大量使用が必要になるのです。そのためCO2やメタンガスを大量に排出します。私たちにとって馴染み深い水田も実はメタンガスの大きな発生源になっています。

 中でも畜産業は問題が大きく、牛の消化管内発酵、つまり「ゲップ」や排泄物から放出されるメタンガスや亜酸化窒素の量は莫大です。畜産分野の排出量は世界の温室効果ガスの約14パーセントと計算され、世界全体の運輸部門(自動車や飛行機など)より多くの温室効果ガスを排出しているのです。このうち7割近くが「牛」から排出されています。

欧州諸国では畜食をすれば
冷ややかな視線を浴びる

 また世界の農地のかなりの割合が畜産飼料の生産に利用されています。国際農林水産業研究センターの2022年報告によれば、世界の穀物の半分ほどが(飢餓に直面している人々の食料になり得るものでありながら)畜産飼料に利用されています。また、アマゾン川流域など南半球の熱帯雨林では放牧や牧草栽培のための大規模な森林伐採が行われ、過剰な放牧による草地の砂漠化が進んでいます。

 畜産業、特に牛の飼育が温暖化の大きな要因となっていることが科学的に明らかになるにつれ、地球温暖化に敏感な西欧諸国の食卓では、畜肉を避ける傾向が強まっています。

 ポール・マッカートニー氏は週に1日は畜肉を食べない「ミートフリーマンデー」を呼びかけ、誰でもできる地球温暖化問題への取り組みとして世界に広がりました。日本でも、気象庁や東京都庁の食堂がこの取り組みを行っており、週に1日は畜肉のメニューを提供しないことにしています。