筆者の研究室には毎年、欧州諸国から留学生がやってきます。2024年にはドイツとノルウェーから3名の留学生を受け入れました。ドイツ人留学生はベジタリアンで、「畜肉の消費は環境に良くないから」というのが理由でした。また同時期に逆にドイツに留学した日本人学生もいたのですが、ドイツの大学食堂で肉料理を食べていると冷ややかな視線を浴びることが多く、否応なしにベジタリアンになってしまったといいます。

 ドイツの統計では、ベジタリアンやヴィーガンなど環境に配慮して食生活に制限をかけている人が人口の1割以上いるそうです。そこまで行かなくても、畜肉を食べることが環境に負荷をかけるのはすでに常識で、多くの若者が意識して畜肉の消費量を落としているといいます。

 同じ畜肉でも、牛肉と豚肉、鶏肉では地球環境への負荷がかなり違います。国立研究開発法人である農研機構の調査によれば、牛肉の生産時に排出される温室効果ガスは、同じ重量の豚肉の4倍、鶏肉の10倍以上です。焼き肉を月1回我慢してその代わりに焼き鳥を食べるだけでも地球温暖化対策に貢献できるのです。これなら負担感もなく、簡単で効果のある取り組みだと思います。

地球温暖化を心配するなら
肉よりも魚を食べよう

 でも、もっといい方法は代わりに魚を食べることです。漁船は航行時にCO2を排出しますが、その量は大きなものではありません。地球温暖化に対する影響では、環境の作り替えをしない漁業は間違いなく畜産よりも優れています。地球温暖化を心配するのであれば、動物性タンパク源を牛肉から豚肉や鶏肉に代えること、そして最終的に水産物に行き着くのが科学的で論理的な態度なのです。

 ドイツでは水産物を食べる文化がないために、大豆ミートが流行しているそうです。しかし遺伝子を組み換え、化学肥料を大量消費して生産される大豆より、自然の中で生まれ育つ魚の方が環境にはずっと優しいのです。気候変動や地球温暖化を問題視しながら魚を食べず、牛肉を好んで食べる人の言葉を信用してはいけないと思います。