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2022年には農水省が養殖生産の振興策を策定するなど、水産業改革の目玉として大きく注目されている魚類養殖業。ニュースでは養殖技術の成功が報道されているが、果たして養殖業は今後、ビジネスとして成長が見込めるのだろうか。専門家が解説する。※本稿は、水産学者の佐野雅昭『日本漁業の不都合な真実』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
今注目を集める魚類養殖業は
「成長産業化」が可能なのか
近年、テレビや新聞、ネット記事などで魚類養殖業への注目が高まっています。養殖業の振興は水産業改革の目玉であり、その柱が2022年に農水省が策定した「養殖業成長産業化総合戦略」で、輸出拡大を前提とした養殖生産の振興策です。
例えばブリ類では2030年に生産量24万トン(2024年は13万2000トン)という大胆な目標を掲げ、増産される10万トンの養殖ブリを海外に仕向ける計画です。私の研究室で養殖経済を学ぶ大学院生の試算では、10万トンのブリ増産にはタンパク質が約15万トン、脂質が約10万トン新たに必要で、マイワシに換算すると約100万トンです。
これは非現実的な数字です。またその漁場も現在使用されている養殖場とほぼ同じ面積が新たに必要になりますが、現状では確保は困難です。いずれにおいても画期的な技術革新が必須であり、研究開発が進んでいます。
養殖業の成長産業化が可能かどうかはまだはっきりしたことは言えません。しかし世界的な食料不足と価格高騰を背景に、食料自給率向上の有力な手段として、また儲かる投資先として大きな期待が寄せられているのです。







