日本人学生の低バリューは、専門性とキャリアビジョンのなさに起因

 一方で、日本企業が血眼で採用を続けている日本人学生のバリューは、どの程度あるのでしょうか?

 その答えは、今からご紹介する出来事で明らかになった気がします。

 弊社は、世界中の優秀な学生の日本企業への就職だけでなく、日本人学生の海外就職も強力に支援しようと一昨年サービスを立ち上げ、シンガポールの政府系人材機関と海外就職セミナーを共催しました。世界各国の企業にプロモーションをかけましたが、残念ながら日本人学生を新卒採用したいという企業はほとんど出てきませんでした。日本企業の競争力低下に加え、日本人学生への評価は相対的に高くないためです。ちなみに、何とか探し出せた募集要件は、日本企業の海外現地法人であれば現地給与水準で受け入れ可能性がある、というものでした。

 もちろん、日本人学生の中にも潜在成長力の高い学生は大勢います。しかし、われわれが世界中の学生に日々会っていて感じる海外学生との一番の違いは、「専門性の低さ」と「職務体験の乏しさからくるキャリアビジョンの弱さ」です。わかりやすく言えば、「プレ社会人」としての完成度が、先進国の中でもかなり低いのです。

 ただし、その責任を今の学生たちだけに問うのは酷でしょう。昔も今も、学生たちの過ごし方は、大きくは変わっていないのだから。

 日本人学生のレベルが数十年前から大きく落ちているのではないのです。アジアを中心とした、新興国の教育レベルが驚異的に進歩しているのです。それに加えて、日本企業の採用やインターンにおける独特のシステムが、世界標準から外れて“ガラパゴス化”していることが、学生の競争力低下につながっているのです。