日本人学生のバリューを上げられない構造上の課題
では、いったいどこがガラパゴスなのでしょうか?それをまとめたのが、下記チャートです。 ※【日本】は東証一部上場の大企業を示す。
日本企業が世界標準から外れているポイントは、大きく次の3つ――1. 職種別採用、2. 新卒一括採用、3. インターンシップ、です。
この3つについて、以下に詳しく述べましょう。
まず1. 職種別採用は、世界では常識となっています。職種別採用の場合、学部や大学院で習得した専門性が重視されることから、GPA(成績スコア)が高ければ就職も有利になるため、海外の学生たちは大学生活を通して必死に勉強します(もちろん、卒業に求められる学業成績が大変高い、という別の要因もありますが)。
しかし、日本では「総合職」というポテンシャル(潜在成長力)を重視した採用が、今も主流です。日本企業の採用試験では、いまだに成績を聞かれることは滅多になく、エントリーシートに記載する欄もありません。採用面接での企業側の質問は、課外活動に関することが大半で、これは世界でもかなり稀です。大学生に対して、本業である学業のことはほとんど聞かず(評価せず)、サークルや旅行、体育会活動の話題が中心なのですから。
実際、テニスサークルなど課外活動漬けで学生生活を終える学生は少なくなく、日本にきた海外の学生が、そのセミプロ並みの練習時間に驚いて「日本人学生ってどうしてみんな勉強しないでテニスばかりしているんですか?」といぶかしがるほどです。
私自身、体育会に所属し運動漬けの学生生活を過ごしていたので今の学生を批評できる立場にありません。しかし実際のところ、学業以外の活動が評価されて就職できる国は、世界を見渡しても日本をおいてほかにありません。
次に、2. 新卒一括採用に関しては、世界ではそれ自体がない国が多いと言えるでしょう。日本では今も、当たり前のように新卒採用が重視されていますが、非常に稀な例です。
例えばお隣の韓国では、新卒採用が日本ほど盛んでないため、新卒者は中途転職者と同じ土俵で就職活動を戦わなければなりません。そうなると、新卒でも即戦力を求められ、スキルの有無が面接時の重要な判断材料となるのです。新卒の就職率が日本よりかなり低いのは、そうした事情が影響していると考えられます。