学生の就職活動に
安定志向再び
3月に入り、2014年卒業予定の大学生の就職活動が、いよいよ本格化してきました。
昨年12月の就活解禁以降、設立してまだ5年、社員数も100人に満たないわれわれインテグレートにも、広告、マーケティング業界で働きたいと思っている多くの学生たちが会社説明会に来てくれています。
今年は、就職難を背景に高まった昨年までの中小企業人気が一変し、大手企業を目指す学生が多く、就職に対する若年層の保守的志向がうかがえるそうです。リーマン・ショック後、政府や大学が学生の中小企業への就職を後押ししました。その効果もあって、ここ数年は中小企業に就職を希望する学生は急増し、13年春に就職する学生の中で、中小企業を志望した学生は、14年ぶりに大企業の志望者数を上回ったのですが、14年春は再び大企業への志向が優勢になっているということです。
厚生労働省が毎年まとめている新卒者の離職率によれば、最近は入社3年以内の離職率が低下の傾向にあり、03年3月卒が35%だったのに対して、09年3月卒は28%にまで低下しています。日本生産性本部の調査でも「今の会社に一生勤める」が60%と過去最高に達し、一方で、「チャンスがあれば転職したい」は、20%余りと逆に過去最低を示しました。
こうした若年層の安定志向について、ニッセイ基礎研究所の久我尚子研究員は「不況下で育ち、社会保障不安も強く、『アベノミクス』でやや期待感は出てきたものの、依然として将来に対する明るい見通しを持ちにくいなかでは、保守的な志向を持つことは自然な流れだろう」と述べています。
私が就職をした1987年当時は、大手企業に就職するために就活をするのが当然でした。終身雇用が一般的であり、最初に入った会社で一生働くのが前提という、いわゆる就社という考え方が主流だったからです。転職に関しても極めて保守的で、大企業を辞めて中小企業やベンチャーに転ずるなど、到底考えられないという空気が世の中を覆っていました。
そんな時代に、私は、味の素という大企業を飛び出し、日本では誰も知らないフィンランドの企業に身を投じました。同社のアジアでのビジネス立ち上げに参加したのです。28歳の時のことでした。