Kawaiiが英語圏に受け入れられたワケ

 話は変わるが筆者が渡米直後、1990年前後に暮らしていた地域では、女の子が小学校高学年にもなると、口紅やアイメイクに挑戦しながら「大人の女性っぽさ、セクシーさ」へ急ぐ空気があった。

 そこにサンリオがハローキティを持ち込み、「kawaii(カワイイ)」という選択肢が加わったとき、多くのアメリカ人女性が、これに飛びついた。

 Cuteやpretty、beautifulといった言葉にはない、「非セクシーな幼さ」を肯定するニュアンスの言葉がそれまで英語にはなかった。Kawaiiは、人類共通の感情・感性に日本文化発祥の言葉が「呼び名を与えた」と言えよう。

日本定住を望む外国人が、カタコトでもいいから日本語を学ぶべき理由写真はイメージです Photo:PIXTA

 人間は元来、誰もが同じ感情や感性を持っている。しかし生まれ育った環境と言語、そして各人の個性によって、それほど育たなかったり埋もれたままになったりするものがある、と筆者は考える。

 古くは「kaizen(カイゼン)」に始まり、「ikigai(生きがい)」や「mottainai(もったいない)」など、英語圏の語彙にそのまま取り込まれた日本語は数多くある。その多くは、誰もがその存在を感じてはいたが、それをひとことで表すどんぴしゃの語彙が英語には存在しなかったところ、日本語がうまくハマったのだろう。

 ちなみに日独合作映画『パーフェクト・デイズ』(Perfect Days)を通じて欧米に拡散した、「Komorebi(木漏れ日)」という言葉は、英語に直訳すればsunlight leaking through trees(木々を通って漏れてくる日光)となり、実に味気ない。Komorebiという言葉に情緒や美を感じる感性の外国人が、日本を訪れると、「生まれ故郷に帰ってきたような気がする」という。