日本語の特殊性、英語との大きな違い
ある民族の言語というのは、その民族が時には何千年もかけて培ってきた価値観、感情の機微、世界観などと複雑に絡み合っている。語彙や表現、さらには言語構造・文法までもが互いに影響し合っていることもある。
日本語と英語を比較した際、日本語の特徴のひとつはコンテクスト(場の空気)や対人関係、相手への配慮を反映した表現が極めて多いことだ。※
※他にも特徴として、論理的な説明を省き、状態や動きを直感的に描写する語彙が豊富なことがある。例えば、目に見えない空気感や、言葉で説明し尽くせない心身の状態を表すのに重宝するオノマトペ(擬態・擬音語)の数が、少なくとも英語の3倍以上あり、種類もニュアンスもはるかに多彩だ。
代表例として、「一人称」が挙げられる。自分のことを呼ぶのに男性なら「わたし、わたくし、僕、俺、自分、(自分の子に向かって)パパ」などと、相手との関係性や距離感によって瞬時に使い分ける。
一方、英語だと自分を指す言葉は「I」のみだ。英語では、自己をはっきり示す。日本語では、状況や相手に合わせて振る舞い方を調整するという文化があり、語彙と表裏一体になっている。
もちろん英語圏でも、関係性や距離感の取り方が複雑になることはある。が、個人の意志や情報の具体性を重視する文化なので、自分の権利や意見、感情の細かいニュアンスを論理的に文章表現する。単語では言い表せない。
ちなみに、日本語と同様に社会的感情や対人関係のニュアンスの違いを表現する語彙が非常に多い言語は、他にもある。一例が、アラビア語だ。多様な敬語表現で微妙な距離感を調整し、さらに詩的・宗教的・方言的な多様性があるそうだ。
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