
捨松はりんたちのメンター的な存在
捨松の身の上話を聞いた直美は、彼女が鹿鳴館で陰口を叩かれながらも顔を出す理由を推察する。
よくも悪くも目立つから、何かのきっかけになると思ってのことなのだ。
「その先のマイライフ。私の人生を生きるため」
「年の離れた陸軍大臣の夫は、これ以上ないほど、私の人生のサポートになってるわ」
気持ちいいほどしたたかである。
あまりにキャラが良くて、捨松を主人公にした朝ドラを見たかったと思ってしまう視聴者もいるだろう。
朝ドラには時々そういうことがある。例えば『エール』では柴咲コウが演じたオペラ歌手・双浦環がそうだった。
英ロンドンでデビューし欧米各国で活躍した三浦環をモデルにした人物で、柴咲が演じているから華があり、魅力的なキャラになっていた。海外に進出して活躍するのもドラマになったら波瀾(はらん)万丈でわくわくしそうだ。主人公が偉業を成した人物でない一般人だと、偉業を成した人物が出てくると、どうしてもそっちが目立ってしまう。
女性主人公の朝ドラで男性が目立ってしまったケースは、『ばけばけ』の小泉八雲をモデルにしたヘブン(トミー・バストウ)や『まんぷく』の安藤百福をモデルにした萬平さん(長谷川博己)、『ブギウギ』の服部良一をモデルにした羽鳥善一(草彅剛)などがいる。
だがこの人たちを主人公にするなら朝ドラより大河で見たいという印象なのでまだいい。女性が主人公の朝ドラで、主人公に影響を与える人物として女性が強烈な印象を残してしまうのはなかなかもどかしいものがある。
脚本家の吉澤智子さんは捨松について、第1週の試写会見でこう語っている。
「捨松が医療に関わっていたことを知っている人は少ないと思います。津田梅子とアメリカにいき、あとは鹿鳴館で踊っていたという印象が強いのではないでしょうか。
私も調べて知ったことですが、実は日本に医療やチャリティーを根付かせていた人で、そこがとても魅力的に感じました。それもあって、『風、薫る』では捨松が1つの大きなキーになっていきます。
メンターというのか、この時代、アメリカでの医療を見たことがある人はとても稀(まれ)なので。彼女はいろんな意味でふたりに影響を与えます」







