相鉄グループ、パナソニック、中川政七商店、黒木本店、尾鈴山蒸留所、久原本家 茅乃舎、そしてくまモン……様々な案件で大ヒットを生み出してきたクリエイティブディレクター・水野学氏。さぞや忙しいのでは、と思われがちだが、実は毎日8時間睡眠のゆったりした生活を送っているという。
それは独自の時間の使い方があるからだ。いったいどうしたら、焦らず、慌てず、余裕のある生活ができるのか? 水野学氏の著書『逆算時間術』(ダイヤモンド社)から探ってみたい。

【仕事の常識を疑う】超多忙なディレクターが、打合せの場で絶対にやらない、たった一つのこととは?Photo: Adobe Stock

「持ち帰って、次回持ってきます」をやらない

 打ち合わせを終えた後に「では、今日の結果を踏まえて次回、改めて考えたものを提案いたします」といった仕事の流れになることが少なくないのではないかと思います。

 実は僕自身も、かつてはそういう仕事の仕方をしていました。というか、そうするしかない仕事になってしまっていた。だから、そうしなくて済むように仕事のスタイルを確立したということになるのですが。

「(今日は)持ち帰って次回(別案を)持ってきます」をやると、大きな時間ロスが出ます。次回の打ち合わせまで、前に進めないわけです。だったらどうして打ち合わせの時間が必要だったか。なんのための打ち合わせの時間だったのか、ということになる。

 打ち合わせそのものがディスカッションの場であり、決定の場、判断の場。僕はそう考えています。だから、打ち合わせの場でどんどん決めていってしまう。判断していってしまう。そのために、徹底して集中する。

 だから、たくさんのプロジェクトを動かすことができているのだと思います。そして、たくさんのプロジェクトを動かしているけれど、「時間がない」ということにはならない。打ち合わせの時間にだけ、とにかく集中しているからです。

 その場で決められるよう、決定権のある方に打ち合わせに参加していただいている、ということも大きいかもしれません。

 実は、仕事の契約をするときに、「その場で判断できる方にミーティングに出ていただくことが、契約の条件になります」とお伝えしています。そうすると、経営トップのクラスがおいでになる。だから、その場で決まることになる。

 中には、もちろん迷われるケースもあります。打ち合わせの場で「こうしましょう」と出てきたアイデアに対して、「ちょっと一晩、考えていいですか?」となることもあります。

 しかし、それはクライアント側の話です。僕たちが「ちょっと一晩、考えていいですか?」はやらない。「その場で決める」と決めているのです。

 ディテールも打ち合わせの場で徹底的に探ります。事前に準備もしますが、その場でとにかく集中して、その場でアイデアを出し、その場で決めていくのです。

 そんなことができるのか、と思う人もいるかもしれません。しかし、僕はそれをやっています。「そんなことはできない」という思い込みの枷(かせ)を、外してみてください。「打ち合わせで決める」と決めていれば、そのつもりで動くようになるかもしれません。

 そして、時間の無駄がなくなる。そのために、脳を最高の状態にしておくよう心がけるようになるのです。

※本稿は、『逆算時間術』水野学(ダイヤモンド社)から一部を抜粋・編集して掲載したものです。