オーバーツーリズムへの不満はある
けど行政の対応スピードも速い!

 もちろん、ハワイでも観光客の増加による渋滞や自然環境への負荷に対して、住民が不満を感じていないわけではありません。でも、行政と観光局の対応スピードが凄いんです。

 問題が顕在化すると、自然保護区への事前予約制がすぐに導入されます。Airbnbなどの民泊に対する規制も、エリアごとに迅速に整備されました。人気ビーチ周辺の駐車禁止ルールも、観光客にはちょっと厳しいかなと思うくらいのレベルで素早く制定されています。

 私は観光業に携わっている立場なので、「ここにも駐車スペースがあれば便利なのに」と思うことも正直あります。でも、近隣住民を思い浮かべると、やっぱりそうじゃないよなと感じます。そういったバランス感覚が、ハワイの行政には根付いている。

「対立を作らず、平和な島の空気を維持する」という島民性が、行政の姿勢にも反映されている。さらに、カマアイナ制度と迅速なルール整備という「両輪」がうまく機能することで、観光客と住民の分断を防いでいます。住民として「守られている」という感覚があるので、小さな不満が大きな反発に発展しにくいと感じます。

住民が物価高で疲弊したら
ハワイの魅力は消え失せてしまう

 ハワイを訪れる観光客が、高い費用を払ってでも求めるもの。温暖な気候はもちろんですが、それ以上に「ピースフルな空気」が大きな魅力でしょう。

 その空気を作り出しているのは、他でもない、ハワイ生活を日々楽しんでいる住民そのものです。ハワイに旅行で来て、「いつかハワイに住みたい」と考える日本人も多いのは、まさにそういう点ではないでしょうか。

 だから、住民が物価高で疲弊してギスギスしてしまったら、ハワイの魅力は消え失せてしまいます。住民の生活を守る二重価格は、結果として、「観光地としてのブランド維持」につながっているのです。

 二重価格が、観光客と住民が持続可能な形で共存するための、エコシステムの一部として機能している。仕組みが、自分たちの利益になっていると双方が自然に分かるから、受け入れられているのだと思います。