(どの)大学へ進学するのかは、自身の学業成績と照合しながら最終的には本人が選択するが、その選択は自由に行われるわけではない。どの高校へ入学するかによって、卒業後の進路選択がある程度方向づけられるのである。皆さんの出身高校における卒業生の進路は、おおよそ似ているのではないだろうか(少なくとも年度によって大学や専門学校への進学、就職の割合がバラバラではないだろう)。
『現場で使える教育社会学』では、特定の教育プログラムに入ると、カリキュラムや教師からの期待、学力や学習態度が似た同級生などの影響によって、卒業後の進路が似たようなものへたどり着くことが示されている(*注5)。陸上競技の走路のように、あるコース(高校)を走ることでゴールまでの道筋(大学進学するか否か)が決められていることから「トラッキング」と呼ぶ。同じような学力層で構成される日本の高校教育は、学力偏差値で上位に位置づけられる高校へ進学すると、(入試選抜度の高い)四年制大学へ進学するようになりやすいのである。
このトラッキングをふまえると、仮に大学が身近ではない地域で暮らしていた生徒であっても、通っている高校が大学進学を中心とする進路指導を行っていた場合、志望大学を記入させられたり、模試を受けさせられたり、休み時間にクラスメートと志望大学について話し合ったりすることで、進路選択が徐々に大学へ方向づけられる、ということになる。大学進学を目指すクラスメートや進学を前提とする進路指導の影響を受け、「なんとなく」大学進学を目指すことも起こりうるのである。
*注5 松岡亮二が執筆する「制度が隔離する高校生活」という章を参照してほしい。
非都市部の高校の生徒は
学力があっても進学しない
ただし、このトラッキングにおいても非都市部では制約が存在する。地方県の進路プロセスに詳しい田垣内義浩の論文「地方県の非都市部からの大学進学」によると、地方県の非都市部の高校は若手に偏った教員構成、普通科と総合学科(普通科・専門学科の科目から自分で選択して学ぶ学科)が併置されることで教員の労働量の増加といったリソースの制約があるという。そうした制約の中でも高校存続のために国公立大学進学を保障する必要があり、普通科の学力トップ層を大学受験前提の「特進」コースへまとめ、限られたリソースを傾斜配分することで、地域からのエリートキャリアルートを守ることに高校は苦心する。







