「日本に住みたい」と語る中国人男性
話題になったのは、Yishiというアカウント名の男性による投稿だった。題名は「3年間日本に住み、家族全員を日本に住ませたい理由」。前編で紹介した老沙さんの見解に対する、いわば反論のかたちで注目を集めた。
Yishiさんは、自身についてこう紹介している。
「私たちは中国人の家族で、子どもが3人います。最初は日本に一時的に住むつもりでしたが、暮らしていくうちに、むしろここに長く住みたいと思うようになりました」
老沙さんが「日本は不自由だ」と感じた点を、Yishiさんはむしろ日本の強みだと捉えていた。
「不自由さ」「面倒くささ」が秩序を守っている
Yishiさんがまず評価したのは、日本社会の秩序だった。
たとえば、日本では車を買う際に車庫証明が必要で、警察が実際に駐車スペースを確認する。一見すると面倒な制度だが、そのおかげで違法駐車が少なく、都市部でも道路が整然としている。救急車や消防車が通行しやすい環境が保たれているのも、その延長線上にあるという。
日常生活でも、他人への配慮が制度ではなく習慣として根付いていると感じた。エレベーターで誰かが来ればドアを押さえて待つ。そうした細かな振る舞いが自然に共有されていることに、彼は安心感を覚えた。
つまり、前編で「見えない圧力」として語られたものを、Yishiさんは「社会の秩序を支える共通ルール」と見ていたのである。
お金で扱いが変わらない、平等な社会
Yishiさんは、日本の「平等性」にも強い価値を感じていた。
アメリカのようにチップ文化が強い社会では、より多く支払う人がより良いサービスを受けやすい。一方、日本では、ラーメン店でも役所でもコンビニでも、基本的には誰に対しても同じように丁寧な対応がなされる。お金の多寡で露骨に態度が変わらない。この点に大きな安心感があるという。
前編で紹介したとおり、老沙さんは「お金があっても解決できないことが多い」と日本社会の平等性に窮屈さを感じていた。だがYishiさんは、その同じ性質を「誰もが公平に扱われる社会」として高く評価していた。結局のところ、同じ制度も、人によって意味づけがまったく変わるのだ。







